庭の草が伸び、親が足を取られないか気になる。訪問介護のヘルパーに草取りを頼んだところ、「介護保険のサービスではお受けできません」と言われた。
目の前に困りごとがあるのに、なぜ断られるのか。家族は戸惑います。ただ、ヘルパーが冷たく対応したわけではありません。介護保険の訪問介護には、利用者本人の生活を支えるための範囲があるからです。
庭仕事や大掃除などは、別の担い手へ相談することで進められる場合があります。久留米市で候補になるのが、公益社団法人久留米市シルバー人材センターです。
同センターには一般の仕事依頼と、短時間の「シルバーおてつだい」があります。名前が似ていても、対象と料金は同じではありません。最初にこの区別を押さえると、電話で相談しやすくなります。
訪問介護で頼めないこと
介護保険の訪問介護は、ケアプランに基づいて利用者本人の身体介護や生活援助を行います。調理、洗濯、買物、掃除という言葉だけを見て、できるかどうかを決める仕組みではありません。
同じ洗濯でも、利用者本人の生活に必要な洗濯と、同居家族の分までまとめて行う洗濯では扱いが変わります。利用者以外に関わる調理・洗濯・買物は、介護保険の訪問介護として頼めません。
大掃除、庭の草むしり、家具の修理、ペットの世話も、日常的な生活援助の範囲から外れます。こうした依頼をヘルパーが引き受けられないのは、介護保険上の役割が決められているからです。
訪問介護で扱う範囲を先に知りたい方は、久留米で訪問介護を利用する前に|できること・できないことを家族向けに整理もご覧ください。
迷いやすい依頼を、シルバー人材センターへの相談につなげると次のようになります。右欄は電話相談のときに使う伝え方の例です。実際の受託可否はセンターが判断します。
| 困っていること | 訪問介護での扱い | シルバー人材センターへ相談するときの伝え方 |
|---|---|---|
| 庭の草むしり | 介護保険の生活援助の範囲外 | 一般サービスの草むしりとして、場所と作業範囲を伝える |
| 利用者以外の家族分の炊事・洗濯 | 利用者本人のための生活援助に含まれない | 一般サービスの家事援助として、誰の分をどこまで頼みたいか伝える |
| 大掃除 | 日常的な掃除の範囲外 | 一般サービスの掃除として、部屋や作業内容を伝える |
| 家具の修理 | 介護保険の対象外 | 一般サービスの大工工事として、壊れた箇所を伝える |
| 障子・襖張り | 介護保険の対象外 | 一般サービスとして、枚数や状態を伝える |
| ペットの世話 | 介護保険の対象外 | 公式の一般サービス例に明記されていないため、受託可否を確認する |
アースサポートへの相談では、草むしりに加え、配偶者の夕食も作ってほしいという依頼があります。訪問介護を家政婦や家事代行と同じように考えている方もいます。
介護保険で支援できる範囲から外れる場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーへ相談するよう案内します。介護保険を使ったことがない方は、利用できる制度や支援計画を確認するところから始めます。
アースサポートでは要支援の方を対象とする入居サービスを提供していないため、地域包括支援センターを案内した例もあります。要支援だから訪問支援を利用できないという意味ではありません。
シルバーで頼めること
久留米市の公式ページ「久留米市シルバー人材センター」では、地域の日常生活に密着した臨時的、短期的な仕事を扱うと案内しています。担い手は、働く意欲を持つ地域の高年齢者です。
一般サービスとして相談できる作業には、炊事、洗濯、掃除などの家事援助があります。植木の手入れ、草むしり、大工工事、樹木の消毒、障子・襖張りも、センターの案内に掲載されています。
掲載されている作業名と、実際の依頼内容が一致するとは限りません。庭の広さ、家具の状態、作業場所の危険性などにより、必要な時間や対応できる人が変わるためです。
受託可否と見積は、センターが依頼内容ごとに判断します。危険を伴う作業や専門性の高い作業は、引き受けられない場合があります。担い手も高齢者であることを忘れず、安全を優先します。
ここで混同したくないのが、一般サービスと「シルバーおてつだい」です。後者は、日常生活の「ちょっと困った」を短い時間で手伝うワンコイン・サービスとして掲載されています。
公式ページに掲載されている2016年6月16日付のチラシでは、65歳以上の人だけで暮らす世帯と、身体が不自由な人を対象としています。2026年も同じ条件かは公式ページだけでは確認できないため、世帯の状況と依頼内容を伝え、利用前にセンターへ確認してください。
高齢の夫婦世帯で庭の草が伸びた
ここでは、依頼先を考えるため、ある家庭の状況を想定します。65歳以上の夫婦だけで暮らし、庭の一角の草むしりを頼みたいとします。
対象世帯に当てはまっても、草むしりが短時間枠になるとは限りません。一般サービスとしての見積になる可能性も含め、実際の受託可否と見積はセンターが個別に判断します。
玄関の狭い範囲だけ掃除したい
ここでも、説明のために条件を置いています。身体が不自由な人が、玄関の狭い範囲を短時間だけ掃除してほしいと考えているとします。
依頼者が「10分で終わる」と思っても、センターの見立ては異なることがあります。「シルバーおてつだい」の対象、作業内容、所要時間に合うかを先に確かめます。
保険外サービス全体の種類や探し方は、介護保険外サービスとは?久留米市で家事支援や見守りを探すときの考え方で整理しています。
相続や成年後見について相談を受け、弁護士や行政書士などの専門職を案内したこともあります。アースサポートが法的な判断や手続きを代行するものではありません。
成年後見は久留米市成年後見センターも相談先です。相談内容によって担当できる専門職が異なるため、同センターで相談先を確認するか、紹介先へ業務範囲を確かめます。
料金
公益社団法人久留米市シルバー人材センターの公式ページで公開されている2016年6月16日付のチラシには、「シルバーおてつだい」の料金として10分以内100円、30分以内500円とあります。
これは過去のチラシに記載された金額であり、2026年の現行料金とは断定できません。利用前に料金、対象、希望する作業の可否をセンターへ確認してください。
100円または500円は、センターが扱うすべての仕事に適用される料金ではありません。炊事、洗濯、掃除、植木の手入れ、草むしり、大工工事などの一般サービスは、別に相談と見積が必要です。
交通費、材料費、最低依頼時間の扱いは、今回確認した指定資料だけでは確定できません。推測で金額を足さず、希望する作業を伝えたうえで見積を確認するのが確実です。
民間の家事代行と比べるときも、表示された金額だけで決めると条件を見落とします。対象者、対応する作業、所要時間、受託の判断方法が異なるため、同じ依頼内容で確認する必要があります。
家族と同居し、障子を張り替えたい
三つ目も、説明のために条件を置いています。高齢の親が家族と同居しており、傷んだ障子の張り替えを頼みたいとします。
高齢者だけの世帯には当てはまらなくても、障子・襖張りは一般サービスの掲載例です。ワンコイン料金を前提にせず、枚数と状態を伝えます。受託可否と見積はセンターの個別判断です。
料金の低さだけを理由に依頼先を決めると、作業の範囲や安全面が後回しになります。頼みたいことを具体的に伝え、その内容に合う方法を案内してもらう順番が自然です。
頼み方
久留米市の公式ページによると、久留米市内に住む人と市内の事業所からの仕事依頼を随時受け付けています。相談先は公益社団法人久留米市シルバー人材センターです。
電話は0942-35-5229、FAXは0942-35-5974です。最初の電話では、一般サービスと「シルバーおてつだい」のどちらかを家族が決め切る必要はありません。
まず、誰が困っているのか、何を頼みたいのか、作業する場所と範囲を伝えます。「庭仕事を全部」のような言い方より、「玄関から門までの範囲の草むしり」と伝える方が、内容を共有しやすくなります。
次に、対象条件と作業の可否をセンターへ確認します。受けられる仕事であれば、見積と日程を相談します。希望日だけを先に決めても、対応する会員や安全面の確認によって調整が必要になることがあります。
電話の前に、次の内容を一枚のメモにしておくと話が早く進みます。
- 依頼する人の世帯状況と、身体上の困りごと
- 頼みたい作業と、作業する場所
- どこからどこまでを希望するか
- 希望する時期
- 一般サービスか短時間枠か分からないこと
見積を受けたら、作業内容と料金を確認してから日程を決めます。一般サービスを短時間料金だと思い込まないことが、依頼後の行き違いを防ぎます。
注意点
最初の落とし穴は、「シルバー」という一つの名前の下に、一般サービスと短時間のワンコイン・サービスがあることです。草むしりの掲載があっても、作業全体へ公式ページの掲載額が適用されるとは限りません。
次は、掲載された仕事なら必ず受けてもらえるという思い込みです。作業の広さ、状態、危険性、専門性、担い手の状況によって判断は変わります。見積前に作業を始めてもらう前提で予定を組まない方が安全です。
訪問介護とシルバー人材センターは、どちらか一方を選ぶ関係でもありません。訪問介護はケアプランに沿って本人の生活を支え、センターは受託した保険外の仕事を担います。
たとえば、本人の日常的な掃除は訪問介護、庭の草むしりはシルバー人材センターというように、役割を分けられる場合があります。実際の訪問介護の内容は、本人の状態とケアプランに沿って調整されます。
離れて暮らす家族は、作業を頼めたことで安心し、親の生活全体を見守れていると思いやすくなります。家事の支援と、安否確認や変化への気づきは別の役割です。
継続的な見守りも考えたい方は、久留米市で一人暮らしの親を見守るには?家族が使える相談先と支援も確認してください。
アースサポートの利用者ではありませんが、草むしりに困っていた相談者へ、シルバー人材センターを案内した例があります。
その後の契約や作業完了までは確認していないため、利用できた事例とは断定しません。作業範囲、料金、実施時期は、本人からセンターへ確認する必要があります。
よくある質問
家族と同居していると依頼できませんか
「シルバーおてつだい」は、65歳以上の人だけの世帯と、身体が不自由な人を対象とする案内です。一方、一般サービスは別の仕組みです。同居だけで判断せず、希望する作業と世帯状況を伝えてください。
草むしりは10分以内なら100円ですか
依頼者だけで作業時間を決めても、料金は確定しません。草むしりは一般サービスにも掲載されています。短時間枠に当てはまるか、一般の見積になるかをセンターへ確認します。
訪問介護を使っていても併用できますか
役割の異なるサービスとして相談できます。訪問介護は本人のケアプランに沿った支援、シルバー人材センターは個別に受託した仕事を担当します。重なる部分が不明なら、訪問介護の担当者とセンターの双方へ確認します。
確認した一次情報
- 公益社団法人久留米市シルバー人材センター「公式サイト」https://www.kurume-sjc.or.jp/(2026年8月20日確認)
- 公益社団法人久留米市シルバー人材センター「ワンコイン・サービス」https://www.kurume-sjc.or.jp/pages/62/(2026年8月20日確認)
- 久留米市「久留米市シルバー人材センター」https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1090sangyou/2060koyouroudou/3020soudan/3010syuroumadoguchi/2022-0118-1513-80.html(2026年8月20日確認)
- 厚生労働省「訪問介護で受けられないサービス」https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group2.html(2026年8月21日確認)
- 久留米市「介護予防・日常生活支援総合事業」https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1070kenkou/2030koureikaigo/3310sougojigyo/2017-0405-1511-227.html(2026年8月21日確認)
- 久留米市「成年後見センター」https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1070kenkou/2030koureikaigo/3010kourei/2022-0914-1012-34.html(2026年8月21日確認)
頼めるか迷ったら、最初からサービス名を決める必要はありません。公益社団法人久留米市シルバー人材センターへ困りごとをそのまま伝え、対象、作業可否、見積を一つずつ確かめるところから始められます。



