高齢の親の転倒を防ぐ|玄関から寝室まで家の中を歩いて確認

高齢の親が暮らす家を玄関から寝室まで歩き、段差、敷物、コード、明るさ、履物、薬を確認する方法と、転倒後の救急・受診の目安を解説します。

高齢者の歩行動線から敷物とコードを片づける家族
この記事の目次
  1. 玄関 靴を脱いで向きを変える所まで見る
    1. 靴を避けるため横向きになっていた
  2. 廊下・居間 通る幅と床に増えた物を確かめる
    1. 昼と夜で通り道が変わっていた
  3. 階段 上りより下りと最後の一段を見る
  4. 浴室・トイレ 濡れた床と体の向きを変える動作を見る
    1. 浴室は入る前から出た後まで
    2. トイレは便座までの最後の数歩
  5. 寝室 起き上がる側と最初の一歩を整える
    1. 薬を変えた時期とふらつきの始まりを並べる
    2. 薬の変更後から朝だけふらついた
  6. 転んだ後 起こす前に反応と打った場所を確かめる
  7. 家の中を歩いて確認するチェックリスト

久しぶりに実家へ行くと、廊下の新聞、居間の充電コード、玄関に増えた靴が目に入った。親は「いつもの家だから大丈夫」と言う。家族には、その「いつも」が安全かを確かめる役割があります。

厚生労働省の2025年調査では、介護が必要になった主な原因のうち「骨折・転倒」は総数の14.6%で3番目でした。要介護者に限ると14.8%で2番目です。

出典: 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況」
URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/05.pdf(2026年8月20日確認)

消費者庁が医療機関から集めた事故情報では、65歳以上の転倒事故の48%が自宅で起きていました。これは発生率を示す統計ではありませんが、住み慣れた家も点検対象になると分かります。

出典: 消費者庁「10月10日は『転倒予防の日』、高齢者の転倒事故に注意しましょう!」

URL: https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_040/assets/consumer_safety_cms204_201008_01.pdf(2026年8月20日確認)

転倒のきっかけは、足腰の変化だけとは限りません。床にある物、段差、暗さ、履物、立ち上がる場所、薬の影響が重なることがあります。対策後も転ぶ可能性は残ります。

点検は玄関から始め、普段の生活動線に沿って寝室まで歩きます。費用をかける前に、物をどける、明かりを確保する、履物を見直すという小さな変更から試せます。

玄関 靴を脱いで向きを変える所まで見る

玄関は、上がりかまちだけを見ても足りません。扉を開け、荷物を置き、靴を脱ぎ、体の向きを変えて室内へ上がる。その一連の動きに、足を取られる物や不安定な支えがないかを見ます。

靴、傘、宅配物、古新聞が通り道へ出ていると、足を置ける場所が狭くなります。最初にすることは、日常的に履く一足を残し、床を広く空けることです。

玄関マットは、裏面が滑りにくくても端がめくれる場合があります。本人のつま先が触れていないか、靴を履く動作でマットが動かないかを実際に確かめます。

靴を履くための椅子を置くなら、立ち座りで動かず、玄関の幅を狭めない位置が前提です。靴箱の扉や折り畳み椅子を手すり代わりにすると、荷重を受けきれないおそれがあります。

かかとのないスリッパ、足より大きい履物、底がすり減った靴は、脱げたり滑ったりしやすくなります。本人が普段どの履物で家の中を歩くかまで確認します。

「大丈夫」と言われたら、危ないと決めつけて物を片づけるより、いつもの手順を一度見せてもらいます。本人がよける場所、手を置く場所、立ち止まる場所が見えてきます。

靴を避けるため横向きになっていた

説明のために条件を置いた例です。親は段差を問題なく上がれると言っていましたが、床に並ぶ靴を避けるため、片足を段差に置いたまま横向きに体をひねっていました。

この場合、最初の対応は大きな工事ではありません。靴を片づけ、正面を向いたまま上がれる幅を作り、夕方にも足元が見えるかを確かめます。

段差で毎回ふらつく、壁や靴箱に強くつかまる、家族が体を支えないと上がれない状態なら、手すりや段差への対応を相談する時期です。

久留米で手すり設置を考える家族向けの記事では、介護保険の住宅改修を使う前に確認したい点を扱っています。

廊下・居間 通る幅と床に増えた物を確かめる

廊下は通路、居間は生活の中心です。別の場所に見えても、実際には玄関から椅子、椅子から台所、居間からトイレへと一本の動線でつながっています。

家族が見るべきなのは、部屋の整頓具合より、本人の足が通る線です。壁際が片づいていても、中央に延長コードや座布団があれば、歩くたびによける動作が生まれます。

消費者庁の資料では、電源コード、カーペット、こたつ、座布団に引っ掛かる事故や、新聞紙、段ボールに乗って滑る事例が挙げられています。

最初に、床を横切るコードをなくします。家電の位置を変えられない場合も、配線を壁側へまとめ、歩く線と交差しないかを本人の足元から見直します。

敷物は、滑るかどうかと端につまずくかどうかを分けて見ます。小さなマットを何枚も重ねると境目が増えるため、使う理由が薄いものから外します。

低いテーブルや足置きは、座っていると便利でも、立った直後の一歩を狭めることがあります。家具を動かすときは、本人が覚えている配置を急に変えず、一緒に新しい動線を歩きます。

昼間に明るい廊下でも、夕方は物の影が段差のように見えることがあります。照明をつけた状態と消した状態の両方で、曲がり角や部屋の入口を見ます。

視力や聴力、歩き方の変化を家の環境だけで説明しないことも必要です。急にふらつくようになった、片側に力が入りにくい、立てないといった変化は、医療機関や救急相談につなげます。

昼と夜で通り道が変わっていた

説明のために条件を置いた例です。昼間はコードをまたいで居間を出ていましたが、夜は暗さを避けて壁側を歩き、積んだ新聞紙の近くを通っていました。

家族は昼の動線しか見ていませんでした。新聞紙を床から上げ、充電場所を変え、夜の照明で再び歩くと、時間帯によって危険が変わることを確認できます。

離れて暮らす家族は、写真だけで安全を判断しにくいものです。一人暮らしの親を見守る方法も、連絡方法や相談先を決める材料になります。

施設では、片麻痺のある方がベッドから降りる動きを確認し、使いやすい側へ降りられるようベッドの向きを見直すことがあります。向きは麻痺の側だけで決めず、本人の動作を専門職と確認します。

車いすや歩行器を使う方の動線には、物を置きません。H型の据え置き手すりへ洗濯物を掛けていた場合は、手すりを使う妨げになることを説明し、衣類をクローゼットやたんすへ移します。

階段 上りより下りと最後の一段を見る

階段は段数だけで判断しません。上り口、曲がり角、踊り場、下りた直後まで歩き、どこで手を離すか、足元が陰にならないかを見ます。

階段に箱や洗濯物を仮置きすると、足の置き場が減ります。手すりを使う側に物があると持ち替えも起きるため、階段は収納場所にしない方が動線を保てます。

電球が切れていなくても、本人の体で足元に影ができる場合があります。階段の上と下から見て、段の端が分かるか、最後の一段を床と見間違えないかを確認します。

消費者庁は、段差や階段、玄関への手すり・滑り止め、足元灯を対策として挙げています。滑り止めは剥がれや浮きが新たな引っ掛かりにならないよう、設置後も状態を見ます。

片手に洗濯物や食器を持つと、手すりが使えず、足元も見えにくくなります。運ぶ量を減らす、家族が別に運ぶ、生活場所を同じ階へ寄せる方法から考えます。

手すりの高さや位置、段差解消の方法は、本人の体格や動き、住宅の構造で変わります。家具を固定せず支えにする、自己流で手すりを付けるといった対応は避け、専門職へ相談します。

転倒やベッドからの転落は、寝起きで覚醒が十分でない早朝や夜間に起こることがあります。自分で照明を操作しにくい方は廊下側の明かりを残し、暗くないと眠れない方には足元灯を使うなど、本人に合わせて調整します。

転倒リスクが高い方には、家族と相談し、プライバシーに配慮して離床センサーを使う場合があります。起きやすい時間を記録し、その前後に巡視する方法も取っています。

浴室・トイレ 濡れた床と体の向きを変える動作を見る

浴室とトイレは、狭い場所で立つ、向きを変える、衣類を上げ下げする動作が続きます。床の状態だけでなく、手を伸ばす先と、動作を急ぐ理由まで確かめます。

浴室は入る前から出た後まで

脱衣所のマットがめくれていないか、浴室の床に石けんや水分が残っていないか、浴槽をまたぐときに何へ手を置くかを見ます。

消費者庁は、浴室・脱衣所を自宅内の転倒事故が多く報告された場所の一つに挙げ、浴室内の滑り止めマットを対策として案内しています。

滑り止め用品は、浴室用か、床との相性は合うか、使用中にずれないかを確かめます。敷くだけで安心扱いにせず、端の浮き、石けんかす、劣化も点検します。

浴槽の縁、蛇口、タオル掛けは、体重を支える目的で作られていないことがあります。本人がどこにつかまっているかを見て、不安定な場所なら入浴方法を専門職へ相談します。

家族が腕を引いて浴槽をまたがせると、本人と家族が同時にバランスを崩すことがあります。体の動かし方を独自に決めず、ケアマネジャーやリハビリ専門職へ動作を見てもらいます。

トイレは便座までの最後の数歩

トイレの入口に段差やマットがあると、急いでいるときに足が触れます。掃除道具、ごみ箱、予備の紙が足元へ出ていないかも見ます。

便座へ向きを変える場所が狭いと、壁やドアノブへ手を伸ばしやすくなります。立ち上がった直後に衣類を整えるのか、姿勢が安定してから動くのか、普段の順番を確認します。

夜間のトイレでは、寝室からの暗さと眠気も重なります。足元灯はまぶしさで目がくらまない位置に置き、寝床から便座まで照明が途中で切れないようにします。

浴室やトイレで支えが必要になったら、手すりだけに絞らず、本人の動作と介助方法を一緒に評価します。福祉用具を検討する際は、購入か貸与か、介護保険の対象かも確認が要ります。

久留米で介護用品をレンタルする際の確認点では、相談から選定までの流れを紹介しています。

寝室 起き上がる側と最初の一歩を整える

寝室では、寝具の周りが整っていても、起き上がる側に荷物、コード、履物が集まっていることがあります。枕元からドアまで、本人が使う側を起点に見ます。

ベッドや布団から起きた直後は、立ち上がりと歩き出しが連続します。眼鏡、杖、歩行器、照明のスイッチが無理なく手に届くかを確かめます。

履物は左右をそろえ、毎回同じ場所へ置きます。暗い中で探す、片足だけ履く、遠くへ足を伸ばす動作を減らせます。滑りやすい靴下のまま歩いていないかも見ます。

ベッドの高さは、高ければよい、低ければよいと一律には決められません。足裏が床につくか、立つときに勢いが要るか、座ると後ろへ倒れ込みそうかを見て相談します。

寝床の近くに家具を置いて支えにすると、家具ごと動くことがあります。つかまる場所が必要なら、安定性を確認した福祉用具や住宅設備を専門職と選びます。

薬を変えた時期とふらつきの始まりを並べる

家の中を片づけても、眠気やふらつきが続く場合があります。厚生労働省の指針は、ふらつき・転倒と関係し得る薬として、一部の降圧薬、睡眠薬、抗不安薬などを挙げています。

出典: 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」
URL: https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/kourei-tekisei_web.pdf(2026年8月20日確認)

薬を飲んでいるだけで転倒の原因と決めることはできません。薬を始めた日、量が変わった日、ふらついた時間帯をメモし、処方した医師や薬剤師へ伝えます。

家族の判断で睡眠薬や降圧薬を中止したり、量を変えたりしないでください。病気の治療に必要な薬もあるため、変更は医師・薬剤師との確認が前提です。

薬の変更後から朝だけふらついた

説明のために条件を置いた例です。居間と廊下を片づけても、親は朝の起床後だけ壁へ手をついていました。家族が確認すると、薬の変更とふらつきの始まりが近い時期でした。

この情報だけで薬が原因とは判断できません。飲んだ時刻、起きた時刻、本人の様子を記録し、家族が薬を止めずに処方医へ相談します。

食欲の低下や体重の変化など、歩き方以外の変化が重なる場合も、かかりつけ医へ伝える材料になります。高齢者の食事と栄養では、家族が食事で見たい点を整理しています。

福祉用具は、状態が変わるたびにケアマネジャーや福祉用具専門相談員と見直します。車いすを使っていた方が、リハビリを続けて歩行器へ移行した例もあります。

一方で、独歩から杖、歩行器、車いすへと支えを増やすこともあります。杖、歩行器、車いすには多くの種類があるため、名称だけで選ばず、体格、握力、姿勢、住環境、介助方法を確認します。

適切な用具は移動の可能性を広げることがありますが、ADLやQOLの改善を保証するものではありません。導入後も、使い方と体の変化を確かめます。

転んだ後 起こす前に反応と打った場所を確かめる

転倒を見つけたら、急いで立たせる前に呼びかけへの反応、呼吸、出血、強く痛む場所、頭を打ったかを確認します。痛みが強い、変形がある、立てない場合は、無理に歩かせません。

反応がない場合は直ちに119番通報とAEDの手配を行います。普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は、通信指令員の指示を受けながら胸骨圧迫を始めます。意識がもうろうとしている、けいれんが続く、頭を打った後に反応や意識が変化した場合も119番通報します。

総務省消防庁の高齢者向け資料は、突然の激しい頭痛や急にふらついて立てない状態も、直ちに119番通報する症状として挙げています。

出典: 総務省消防庁「救急車利用リーフレット 高齢者版」
URL: https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal009_kourei.pdf(2026年8月20日確認)

頭を打った直後に会話ができても、その後に様子が変わることがあります。消費者庁は、直後に異常がなくても経過を見て、普段と違う様子があれば医師の診察を受けるよう案内しています。

受診や相談では、転んだ時刻、見ていた人、打った場所、意識の変化、服用中の薬を伝えられるようにします。迷うときは、地域の救急相談窓口や「Q助」も判断を補う手段です。

本人が一人で転んだ可能性があるときは、記憶だけに頼らず、床の物の位置や傷、腫れを確認します。同じ場所で繰り返すなら、体調と環境の両方を医療・介護の相談先へ伝えます。

家の中を歩いて確認するチェックリスト

  • 玄関の靴、傘、荷物を動線から外した
  • 玄関マットのめくれと滑り、履物の脱げやすさを見た
  • 廊下と居間でコード、新聞紙、座布団、敷物を避けずに歩ける
  • 本人と一緒に昼と夜の動線を歩いた
  • 部屋の入口、曲がり角、段差、階段の端が明るく見える
  • 階段に物を置かず、手すりを使う手が空いている
  • 浴室の水分、石けん、滑り止め用品のずれを見た
  • トイレの入口と便座の周りから物を外した
  • 寝床から照明、履物、杖などへ無理なく手が届く
  • 立ち上がりや歩き方が変わった時期を記録した
  • 薬の開始・変更後のふらつきは、自己中止せず医師・薬剤師へ相談する
  • 転倒後に119番や受診を考える症状を家族で共有した
  • 片づけだけで足りない場所は、住宅改修や福祉用具を専門職へ相談する
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高齢の親の転倒を防ぐ|玄関から寝室まで家の中を歩いて確認|アースサポート株式会社

高齢の親の転倒を防ぐ|玄関から寝室まで家の中を歩いて確認

高齢の親が暮らす家を玄関から寝室まで歩き、段差、敷物、コード、明るさ、履物、薬を確認する方法と、転倒後の救急・受診の目安を解説します。

この記事の目次
  1. 玄関 靴を脱いで向きを変える所まで見る
    1. 靴を避けるため横向きになっていた
  2. 廊下・居間 通る幅と床に増えた物を確かめる
    1. 昼と夜で通り道が変わっていた
  3. 階段 上りより下りと最後の一段を見る
  4. 浴室・トイレ 濡れた床と体の向きを変える動作を見る
    1. 浴室は入る前から出た後まで
    2. トイレは便座までの最後の数歩
  5. 寝室 起き上がる側と最初の一歩を整える
    1. 薬を変えた時期とふらつきの始まりを並べる
    2. 薬の変更後から朝だけふらついた
  6. 転んだ後 起こす前に反応と打った場所を確かめる
  7. 家の中を歩いて確認するチェックリスト

久しぶりに実家へ行くと、廊下の新聞、居間の充電コード、玄関に増えた靴が目に入った。親は「いつもの家だから大丈夫」と言う。家族には、その「いつも」が安全かを確かめる役割があります。

厚生労働省の2025年調査では、介護が必要になった主な原因のうち「骨折・転倒」は総数の14.6%で3番目でした。要介護者に限ると14.8%で2番目です。

出典: 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況」 URL: https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/05.pdf(2026年8月20日確認)

自宅も点検対象です。消費者庁が医療機関から集めた事故情報では、65歳以上の転倒事故の48%が自宅で起きていました。これは発生率を示す統計ではありません。

出典: 消費者庁「10月10日は『転倒予防の日』、高齢者の転倒事故に注意しましょう!」

URL: https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_040/assets/consumer_safety_cms204_201008_01.pdf(2026年8月20日確認)

転倒のきっかけは、足腰の変化だけとは限りません。床にある物、段差、暗さ、履物、立ち上がる場所、薬の影響が重なることがあります。対策後も転ぶ可能性は残ります。

玄関から歩きます。普段の生活動線に沿って寝室まで進む。費用をかける前に、物をどける、明かりを確保する、履物を見直すという小さな変更から試せます。

玄関 靴を脱いで向きを変える所まで見る

玄関は、上がりかまちだけを見ても足りません。扉を開け、荷物を置き、靴を脱ぎ、体の向きを変えて室内へ上がる。その一連の動きに、足を取られる物や不安定な支えがないかを見る場面です。

まず一足だけ残します。靴、傘、宅配物、古新聞が通り道へ出ていると、足を置ける場所が狭くなるからです。床を広く空けます。

端のめくれを見ます。玄関マットは、裏面が滑りにくくても動く場合があります。本人のつま先が触れないか、靴を履く動作でずれないかを実際に見ます。

椅子は動かないことが前提です。玄関の幅を狭めない位置へ置く。靴箱の扉や折り畳み椅子を手すり代わりにすると危険です。

かかとのないスリッパ、足より大きい履物、底がすり減った靴は、脱げたり滑ったりしやすくなります。本人が普段どの履物で家の中を歩くかまで確認します。

いつもの動きを見せてもらいます。「大丈夫」という言葉だけで安全とも危険とも決めません。本人がよける場所、手を置く場所、立ち止まる場所が見えてきます。

靴を避けるため横向きになっていた

説明のために条件を置いた例です。親は段差を問題なく上がれると言っていましたが、床に並ぶ靴を避けるため、片足を段差に置いたまま横向きに体をひねっていました。

この場合、最初の対応は大きな工事ではありません。靴を片づけ、正面を向いたまま上がれる幅を作り、夕方にも足元が見えるかを確かめます。

相談の目安があります。段差で毎回ふらつく。壁や靴箱に強くつかまる。家族が体を支えないと上がれない。こうした状態なら、手すりや段差への対応を相談する時期です。

工事前の確認があります。久留米で手すり設置を考える家族向けの記事では、介護保険の住宅改修を使う前に見たい点を扱っています。

廊下・居間 通る幅と床に増えた物を確かめる

廊下は通路、居間は生活の中心です。別の場所に見えても、実際には玄関から椅子、椅子から台所、居間からトイレへと一本の動線でつながっています。

見るのは足が通る線です。部屋の整頓具合ではありません。壁際が片づいていても、中央に延長コードや座布団があれば、歩くたびによける動作が生まれる配置です。

床の物がきっかけになります。消費者庁の資料では、電源コード、カーペット、こたつ、座布団に引っ掛かる事故や、新聞紙、段ボールに乗って滑る事例が挙げられています。

最初に、床を横切るコードをなくします。家電の位置を変えられない場合も、配線を壁側へまとめ、歩く線と交差しないかを本人の足元から見直します。

敷物には二つの見方があります。滑るか。端につまずくか。小さなマットを何枚も重ねると境目が増えるため、使う理由が薄いものから外す方が安全です。

最初の一歩を見ます。低いテーブルや足置きは、座っていると便利でも、立った直後の空間を狭めることがあります。家具を動かすときは、本人が覚えている配置を急に変えず、一緒に新しい動線を歩きます。

夜の見え方は別です。昼間に明るい廊下でも、夕方は物の影が段差のように見えることがあります。照明をつけた状態と消した状態の両方で、曲がり角や部屋の入口を見ます。

環境だけが原因とは限りません。急にふらつくようになった、片側に力が入りにくい、立てないといった変化は、医療機関や救急相談につなげます。

昼と夜で通り道が変わっていた

説明のために条件を置いた例です。昼間はコードをまたいで居間を出ていましたが、夜は暗さを避けて壁側を歩き、積んだ新聞紙の近くを通っていました。

家族は昼の動線しか見ていませんでした。新聞紙を床から上げ、充電場所を変え、夜の照明で再び歩くと、時間帯によって危険が変わることを確認できます。

写真だけでは動きが見えません。離れて暮らす家族には、一人暮らしの親を見守る方法も、連絡方法や相談先を決める材料になります。

降りやすい側を見ます。施設では、片麻痺のある方がベッドから降りる動きに合わせ、向きを見直すことがあります。向きは麻痺の側だけで決めず、本人の動作について専門職との確認が必要です。

車いすや歩行器を使う方の動線には、物を置きません。H型の据え置き手すりへ洗濯物を掛けていた場合は、手すりを使う妨げになることを説明し、衣類をクローゼットやたんすへ移します。

階段 上りより下りと最後の一段を見る

階段は段数だけで判断しません。上り口、曲がり角、踊り場、下りた直後まで歩き、どこで手を離すか、足元が陰にならないかを見ます。

階段は収納場所ではありません。箱や洗濯物を仮置きすると、足の置き場が減ります。手すりを使う側の物は、持ち替えの原因です。

影も危険になります。電球が切れていなくても、本人の体で足元が暗くなる場合があります。階段の上と下から見て、段の端が分かるか、最後の一段を床と見間違えないかを見ます。

設置後も点検が要ります。消費者庁は、段差や階段、玄関への手すり・滑り止め、足元灯を対策として挙げています。滑り止めの剥がれや浮きが、新たな引っ掛かりになるためです。

手すりを使う手は空けます。洗濯物や食器を持つと、足元も見えにくくなるからです。運ぶ量を減らす、家族が別に運ぶ、生活場所を同じ階へ寄せる方法から考えます。

手すりは人と家に合わせます。高さや位置、段差解消の方法は、本人の体格や動き、住宅の構造で変わるからです。家具を固定せず支えにする、自己流で付ける対応は避け、専門職へ相談します。

寝起きは動きが不安定です。転倒やベッドからの転落は、覚醒が十分でない早朝や夜間に起こることがあります。自分で照明を操作しにくい方は廊下側の明かりを残し、暗くないと眠れない方には足元灯を使うなど、本人に合わせた調整が必要です。

見守りにも配慮が要ります。転倒リスクが高い方には、家族と相談し、プライバシーに配慮して離床センサーを使う場合があります。起きやすい時間を記録し、その前後に巡視する方法も取っています。

浴室・トイレ 濡れた床と体の向きを変える動作を見る

狭い場所で動作が続きます。浴室とトイレでは、立つ、向きを変える、衣類を上げ下げする。床だけでなく、手を伸ばす先と、急ぐ理由まで見ます。

浴室は入る前から出た後まで

入る前から見ます。脱衣所のマット、浴室の石けんや水分、浴槽をまたぐときに手を置く場所が対象です。

浴室は事故報告の多い場所です。消費者庁は、浴室・脱衣所をその一つに挙げ、浴室内の滑り止めマットを対策として案内しています。

敷いた後も見ます。滑り止め用品が浴室用か、床との相性は合うか、使用中にずれないか。端の浮き、石けんかす、劣化も点検します。

つかまる場所を見ます。浴槽の縁、蛇口、タオル掛けは、体重を支える目的で作られていないことがあります。不安定な場所なら、入浴方法は専門職への相談対象です。

腕だけで引きません。本人と家族が同時にバランスを崩すことがあるからです。体の動かし方を独自に決めず、ケアマネジャーやリハビリ専門職へ動作を見てもらいます。

トイレは便座までの最後の数歩

入口から片づけます。段差やマットがあると、急いでいるときに足が触れるからです。掃除道具、ごみ箱、予備の紙も足元から外します。

向きを変える幅が要ります。狭いと、壁やドアノブへ手を伸ばしやすくなります。立ち上がった直後に衣類を整えるのか、姿勢が安定してから動くのか、普段から見るべき順番です。

夜は眠気も重なります。足元灯はまぶしさで目がくらまない位置へ置く。寝床から便座まで、照明が途中で切れないようにします。

手すりだけが答えではありません。本人の動作と介助方法を一緒に評価します。福祉用具は、購入か貸与か、介護保険の対象かも確認が要ります。

選定までの流れがあります。久留米で介護用品をレンタルする際の確認点で紹介した記事です。

寝室 起き上がる側と最初の一歩を整える

寝室では、寝具の周りが整っていても、起き上がる側に荷物、コード、履物が集まっていることがあります。枕元からドアまで、本人が使う側を起点に見ます。

起きた直後が要点です。立ち上がりと歩き出しが連続するからです。眼鏡、杖、歩行器、照明のスイッチが無理なく手に届くかを見ます。

履物は左右をそろえ、毎回同じ場所へ置きます。暗い中で探す、片足だけ履く、遠くへ足を伸ばす動作を減らせます。滑りやすい靴下も点検項目です。

高さに一つの正解はありません。足裏が床につくか。立つときに勢いが要るか。座ると後ろへ倒れ込みそうか。本人の動きから相談します。

家具は動くことがあります。つかまる場所が必要なら、安定性を確かめた福祉用具や住宅設備を専門職と選びます。

薬を変えた時期とふらつきの始まりを並べる

薬も確認材料です。家の中を片づけても、眠気やふらつきが続く場合があります。一部の降圧薬、睡眠薬、抗不安薬などを、ふらつき・転倒と関係し得る薬として挙げた厚生労働省の指針です。

出典: 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」 URL: https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/kourei-tekisei_web.pdf(2026年8月20日確認)

薬だけで原因とは決めません。始めた日、量が変わった日、ふらついた時間帯をメモし、処方した医師や薬剤師へ伝えます。

自己判断で変えないでください。睡眠薬や降圧薬も、病気の治療に必要な場合があります。変更は医師・薬剤師との確認が前提です。

薬の変更後から朝だけふらついた

説明のために条件を置いた例です。居間と廊下を片づけても、親は朝の起床後だけ壁へ手をついていました。家族が確認すると、薬の変更とふらつきの始まりが近い時期でした。

この情報だけで薬が原因とは判断できません。飲んだ時刻、起きた時刻、本人の様子を記録し、家族が薬を止めずに処方医へ相談します。

歩き方以外も材料です。食欲の低下や体重の変化が重なる場合は、かかりつけ医へ伝えます。高齢者の食事と栄養では、家族が食事で見たい点を整理しています。

用具は固定ではありません。状態が変わるたびにケアマネジャーや福祉用具専門相談員と見直します。車いすを使っていた方が、リハビリを続けて歩行器へ移行した例もありました。

支えを増やす場合もあります。独歩から杖、歩行器、車いすへ移る経過です。種類の名称だけで選ばず、体格、握力、姿勢、住環境、介助方法を見ます。

適切な用具は移動の可能性を広げることがありますが、ADLやQOLの改善を保証するものではありません。導入後も、使い方と体の変化を確かめます。

転んだ後 起こす前に反応と打った場所を確かめる

まず起こさないことです。呼びかけへの反応、呼吸、出血、強く痛む場所、頭を打ったかを見る。痛みが強い、変形がある、立てない場合は、無理に歩かせません。

反応がなければ緊急です。直ちに119番通報とAEDの手配を行います。普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は、通信指令員の指示を受けながら胸骨圧迫を始める。意識がもうろうとしている、けいれんが続く、頭を打った後に反応や意識が変化した場合も119番通報します。

突然の症状も対象です。総務省消防庁の高齢者向け資料は、激しい頭痛や急にふらついて立てない状態も、直ちに119番通報する症状として挙げています。

出典: 総務省消防庁「救急車利用リーフレット 高齢者版」 URL: https://www.fdma.go.jp/publication/portal/items/portal009_kourei.pdf(2026年8月20日確認)

後から変わることがあります。頭を打った直後に会話ができても安心とは限りません。消費者庁は、直後に異常がなくても経過を見て、普段と違う様子があれば医師の診察を受けるよう案内しています。

時刻を残しておきます。受診や相談では、見ていた人、打った場所、意識の変化、服用中の薬も伝える。迷うときは、地域の救急相談窓口や「Q助」も判断を補う手段です。

記憶だけには頼りません。本人が一人で転んだ可能性があるときは、床の物の位置や傷、腫れを見る。同じ場所で繰り返すなら、体調と環境の両方を医療・介護の相談先へ伝えます。

家の中を歩いて確認するチェックリスト

  • [ ] 玄関の靴、傘、荷物を動線から外した
  • [ ] 玄関マットのめくれと滑り、履物の脱げやすさを見た
  • [ ] 廊下と居間でコード、新聞紙、座布団、敷物を避けずに歩ける
  • [ ] 本人と一緒に昼と夜の動線を歩いた
  • [ ] 部屋の入口、曲がり角、段差、階段の端が明るく見える
  • [ ] 階段に物を置かず、手すりを使う手が空いている
  • [ ] 浴室の水分、石けん、滑り止め用品のずれを見た
  • [ ] トイレの入口と便座の周りから物を外した
  • [ ] 寝床から照明、履物、杖などへ無理なく手が届く
  • [ ] 立ち上がりや歩き方が変わった時期を記録した
  • [ ] 薬の開始・変更後のふらつきは、自己中止せず医師・薬剤師へ相談する
  • [ ] 転倒後に119番や受診を考える症状を家族で共有した
  • [ ] 片づけだけで足りない場所は、住宅改修や福祉用具を専門職へ相談する

明日、本人と玄関から居間までを一度だけ歩いてください。やることは一つです。

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