この記事の目次
  1. まず、どんな人が対象になるのか
    1. 払込票がたまっていた母
  2. 支援されるのは、日常の暮らしに必要な範囲
  3. 成年後見制度とは、役割と始まり方が違う
    1. 本人が通帳を預けたくない
  4. 相談から利用開始までの流れ
  5. 家族が先に通帳を預かるときの落とし穴
    1. 契約内容の理解が難しくなっていた父
    2. よくある質問
    3. 参照した一次情報

親の家へ行くと、電気料金の払込票が封を切らないまま残っている。通帳をどこへ置いたか、本人も思い出せない。家族が全部預かるべきか迷う場面です。

久留米市では、久留米市社会福祉協議会が日常生活自立支援事業の相談窓口になります。判断能力が十分ではない人に、福祉サービスの利用手続きや日常的な金銭管理を支援する制度です。

ただし、本人に代わって財産を何でも管理する制度ではありません。利用者との契約が前提です。契約内容を理解して判断できる力が残っているかも確認されます。

まず、どんな人が対象になるのか

厚生労働省は、対象者について二つの条件を示しています。一つは、認知症、知的障害、精神障害などにより、福祉サービスの情報を理解し、判断し、意思を伝えることを本人だけでは適切に行いにくい人。もう一つは、この事業の契約内容を判断できると認められる人です。

診断名だけでは決まりません。認知症の診断があっても契約内容を理解できる人はいます。反対に、診断を受けていなくても、支払いや手続きを一人で進めるのが難しい場合があります。

家族が手伝えるかどうかも相談材料です。ただ、「同居家族がいるから対象外」「一人暮らしなら対象」と単純には決められません。本人の生活状況、希望、必要な援助を聞いたうえで、実施主体が判断します。

払込票がたまっていた母

以下では、制度の使い方を具体的な例に沿って考えます。一人暮らしの母の家で、娘が未開封の払込票を数通見つけたとします。母は買い物の支払いはできますが、支払期限を覚え、必要な現金を準備し、窓口へ行く一連の作業が難しくなっています。娘はすぐに通帳を取り上げず、どの支払いで困っているかを一緒に分けました。

娘は久留米市社協へ電話し、母の理解できること、難しいこと、家族が訪問できる頻度を伝えます。相談後には本人との面談や契約能力の確認があり、支援計画が検討されます。この場面だけで利用が決まるわけではありません。最終的な対象判定と支援内容は、久留米市社協などの実施主体が本人の意向を踏まえて決めます。

支援されるのは、日常の暮らしに必要な範囲

久留米市社協は、福祉サービスの利用援助と日常的な金銭管理を主な支援として案内しています。厚生労働省の説明では、福祉サービスの利用手続き、苦情解決制度の利用、行政手続きに関する援助なども対象です。

金銭管理には、預金の払い戻しや預け入れ、日常生活費の管理が含まれます。定期的な訪問によって、暮らしの変化に気づくことも支援の一部です。

一方、高額な財産を自由に処分したり、本人の代わりに遺産分割を決めたりする制度ではありません。借金、相続、不動産売却など法律判断が必要な問題は、弁護士、司法書士、成年後見制度など別の相談先が必要になることがあります。

支援内容と訪問頻度は一律ではありません。本人が何に困り、どこまで自分でできるかを確認し、支援計画に落とし込みます。計画は、判断能力や生活状況の変化に応じて見直されます。

成年後見制度とは、役割と始まり方が違う

比較する点日常生活自立支援事業成年後見制度
始まり方本人と実施主体が契約する家庭裁判所へ申立て、審判を受ける
本人の判断能力契約内容を判断できる力が必要判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助がある
主な支援福祉サービスの利用援助、日常的な金銭管理財産管理や契約など、選任された人の権限に応じた支援
支援する人社会福祉協議会の専門員や生活支援員など家庭裁判所が選任する成年後見人等
相談の入口久留米市社会福祉協議会成年後見センター、家庭裁判所、専門職など

制度名だけで選ばないこと。本人が契約を理解できる段階なら、日常生活自立支援事業が検討できます。契約内容を理解する力がなくなっている、財産管理や法律行為の代理が必要という場合は、成年後見制度の検討が必要です。

久留米市成年後見センターの電話は0942-30-2732です。制度の違いをさらに整理したい場合は、久留米市の成年後見制度と認知症の相談も参考になります。

本人が通帳を預けたくない

ここでも、説明のために条件を置いています。父は支払いの漏れが増えていますが、息子から「通帳を預かる」と言われると強く拒みます。息子は安全のためと思っていても、父には自分の暮らしを取り上げられるように感じられました。そこで、管理を全部任せてもらう話を止め、父が続けたいことと助けてほしいことを分けて聞きます。

毎週の買い物は自分でしたい。公共料金の支払い日だけは忘れやすい。そんな希望を整理して社協へ相談します。事業の説明は本人にも行われ、支援計画は本人の意向を基に作られます。家族の都合だけで契約はできません。利用の可否は、契約能力と支援の必要性を確認した久留米市社協などの実施主体による個別判断です。

相談から利用開始までの流れ

最初は電話相談です。久留米市社会福祉協議会の電話0942-34-3077、FAX0942-34-3090へ連絡します。本人の氏名や住所だけでなく、何が起きているか、本人はどう話しているか、家族がどこまで支援できるかを伝えると状況が整理しやすくなります。

次に、担当者が本人の生活状況と希望を確認します。契約内容を判断できる力についても見立てます。本人が対象要件に当てはまると判断された場合は、援助内容と頻度を定めた支援計画を作り、契約へ進む流れです。

相談した日に通帳を預けて終わる制度ではありません。本人との面談、対象要件の確認、支援計画、契約という段階があります。急ぎの支払いが迫っている場合は、その事実を最初の電話で伝えてください。

電話の前に、一週間分だけ暮らしを振り返ると話しやすくなります。未開封の郵便、期限を過ぎた払込票、同じ品物の重複購入、通帳と手元現金のずれを紙へ書きます。本人が今も一人でできる支払いと、横で説明があればできる手続きも分けてください。全部を家族が引き取るための一覧ではありません。本人が続けられる部分を残すための材料です。

利用には料金がかかります。厚生労働省は、契約前の初期相談などと生活保護受給世帯の利用料は無料と説明しています。ただし、久留米で実際に負担する額は、久留米市社協の最新案内で確認してください。全国の参考額は、久留米の料金ではありません。

家族が先に通帳を預かるときの落とし穴

家族が管理する場合でも、本人の同意を置き去りにしないことが基本です。通帳、印鑑、カードを預かった日を残し、収入と支出を記録します。兄弟姉妹がいるなら、本人の希望を踏まえて情報を共有する範囲も決めます。

記録がないと、後になって本人や親族から「何に使ったのか」と問われても説明できません。善意で始めた管理が、家族間の不信につながることがあります。領収書と通帳の動きを合わせておく。地味ですが大事です。

暗証番号を聞き出し、本人になり代わって自由に出金する方法は勧められません。金融機関の手続きや代理人の扱いも確認が必要です。本人が契約内容を理解できない状態なら、日常生活自立支援事業だけで解決しようとせず、成年後見の相談へ進みます。

契約内容の理解が難しくなっていた父

仮に、父が支援の説明を聞いても数分後には内容を忘れ、契約する意味を繰り返し理解できない状態だとします。娘は日常生活自立支援事業なら通帳管理を任せられると思い、社協へ相談しました。しかし、同事業は本人との契約が前提です。担当者は生活状況と判断能力を確認し、契約による利用が難しい可能性を家族へ説明します。

そこで家族は、久留米市成年後見センターへ相談し、家庭裁判所への申立てが必要かを整理します。成年後見人等を選任するのは家庭裁判所です。日常生活自立支援事業の利用可否は実施主体が判断し、成年後見制度の開始と支援者の選任は家庭裁判所が判断します。久留米市の窓口は、その前段階の相談先です。

本人の権利を守る制度について広く知りたいときは、権利擁護とは何かで全体像を確認できます。最初の相談先そのものに迷う場合は、久留米で親の介護相談はどこにする?から状況に合う窓口を探してください。

よくある質問

認知症の診断がないと利用できませんか

診断名だけで対象を決める制度ではありません。日常生活に必要な手続きや金銭管理を本人だけで適切に行うことが難しいか、契約内容を判断できるかが確認されます。

家族が同居していても相談できますか

相談はできます。同居の有無だけで対象は決まりません。本人の困りごと、家族が支援できる範囲、本人の希望を社協へ伝えてください。

通帳や印鑑を社協へ預ければ、財産を全部管理してもらえますか

支援は契約と支援計画で定めた範囲です。日常的な金銭管理を超える財産管理や法律行為が必要なら、成年後見など別制度の検討が必要になります。

参照した一次情報

制度の対象と手続きは、厚生労働省「日常生活自立支援事業」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/index.html)を2026年8月22日に確認しました。久留米の窓口と支援内容は、久留米市社会福祉協議会「日常生活自立支援事業について」(https://www.heartful-volunteer.net/faqandlink/qanda/seikatu-jiritsu-shien/)および久留米市「高齢者支援パンフレット(令和8年度版)」を同日に確認しています。

明日やることは一つです。未払いの書類を一通だけ持ち、久留米市社会福祉協議会へ電話してください。