この記事の目次
  1. 10月1日から、労働条件通知書で確認する文言が増える
  2. 説明を求めるなら、「何が違うか」を一つずつ聞く
  3. 家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇の考え方が具体的になる
  4. 会社は、資料を使って待遇差を説明する
  5. 契約更新の前に、通知書と就業規則を並べて見る
  6. 久留米で相談するなら、内容に応じて窓口を選べる

2026年10月1日以降、パートや有期契約の人を雇い入れるときや契約を更新するときは、会社が明示する労働条件に、正社員との待遇差について説明を求められる旨が加わります。

今回の改正は、この一文だけではありません。賞与、退職手当、家族手当、住宅手当、夏季・冬季休暇などについて、待遇差を考えるガイドラインも見直されます。会社側には、説明の仕方や賃金評価、正社員転換に関する情報提供などの対応も求められます。

変わる場面働く人が見るところ
雇入れ・契約更新待遇差の内容や理由について説明を求められる旨が書かれているか
賞与・手当・休暇の確認正社員との違いが、仕事や手当の目的に照らして説明されているか
会社から説明を受ける口頭だけの抽象的な回答で終わらず、資料と具体的な理由が示されるか

改正内容は、厚生労働省「2026年10月からパートタイム・有期雇用のルールが変わります」「施行規則/雇用管理指針の主な改正事項」(いずれも2026年8月31日確認)で確かめられます。

10月1日から、労働条件通知書で確認する文言が増える

パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れるとき、会社は現在も次の4項目を書面の交付などで明示する義務があります。

  • 昇給の有無
  • 退職手当の有無
  • 賞与の有無
  • 雇用管理に関する相談窓口

2026年10月1日からは、待遇の違いと、その理由について会社へ説明を求められる旨が明示事項に加わります。対象となるのは、雇入れ時と契約更新時です。

契約期間が決まっている人は、更新時の労働条件通知書も確認します。時給や契約期間だけを見て保管を終えると、新しい明示事項を見落とします。紙で受け取った場合は契約書と一緒に残し、電子データなら後から開ける場所へ保存しておくと、説明を求めるときに対象の待遇を示せます。

この追加は、雇入れ時と契約更新時の明示事項です。10月1日になった時点で、在職中のパート・有期雇用労働者全員へ同じ日に通知書を再発行するという説明ではありません。有期契約の人は次の更新がいつか、無期の短時間労働者は会社からどの書面で案内されるかを確かめます。

説明を求めるなら、「何が違うか」を一つずつ聞く

「正社員より待遇が悪いのはなぜですか」と広く尋ねると、話が抽象的になりがちです。比較したい待遇を一つ決め、正社員との違いと、その違いを設けた理由を確認します。

たとえば、賞与なら次のように整理できます。

  • 自分に賞与があるか。ある場合は、何を基準に金額が決まるか
  • 比較する正社員には、どのような基準が使われるか
  • 基準が違うなら、職務内容、責任、配置変更の範囲など、どの事情による違いか

住宅手当や家族手当なら、その手当が何を目的に支払われているのかも確認対象です。名称が同じでも、会社ごとに支給目的や要件は異なります。反対に、名前が違う手当でも役割が近いことがあります。名称だけで結論を出さず、就業規則、賃金規程、労働条件通知書と会社の説明を突き合わせます。

個別の待遇差が法的に認められるかは、職務内容、責任の程度、配置変更の範囲、労使交渉の経緯などによって判断が変わります。記事の表だけでは「違法」「適法」を決められません。説明を受けても疑問が残るときは、資料を持って公的窓口へ相談します。

家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇の考え方が具体的になる

同一労働同一賃金ガイドラインは、正社員とパートタイム・有期雇用労働者の待遇差が不合理かどうかを考える具体例を示すものです。2026年10月の改正では、裁判例などを踏まえ、賞与、退職手当、各種手当、福利厚生の記載が見直されます。

厚生労働省は、次の例を示しています。

待遇改正後の公式説明にある例
家族手当相応に継続的な勤務が見込まれるパート・有期雇用労働者には、正社員と同一の手当を支給する
住宅手当正社員と同一の転居を伴う配置変更がある人には、正社員と同一の手当を支給する
夏季・冬季休暇パート・有期雇用労働者にも、正社員と同一の休暇を付与する

ここで気をつけたいのは、雇用形態の名前だけで全員の手当や休暇が自動的に同額・同日数になる、という読み方です。家族手当の例には継続勤務の見込み、住宅手当の例には転居を伴う配置変更という条件が置かれています。自分の会社で何が同じで何が違うのかは、制度の目的と自分の働き方に沿って確かめます。

同一労働同一賃金が比べるのは、同じ会社で働く正社員とパートタイム・有期雇用労働者です。別会社の正社員の手当や、求人サイトで見た他社の条件を基準に、今の会社へ同額を求める制度ではありません。

会社は、資料を使って待遇差を説明する

会社が待遇差を説明する方法も明確になります。厚生労働省の2026年8月3日付コラムは、資料を使って口頭で説明する方法か、説明すべき事項をすべて記載した分かりやすい資料を交付する方法のいずれかが必要になると案内しています。

「パートだから」「会社の決まりだから」という答えだけでは、どの待遇が何を根拠に違うのか分かりません。説明する側は、比較対象となる正社員、待遇の内容、違いを設ける理由がたどれる資料を用意する必要があります。働く側も、聞きたい待遇を絞ると回答を記録しやすくなります。

賃金の決定では、職務内容や成果、意欲、能力、経験などを公正に評価し、昇給へ反映するなど、公正な評価に基づくことが求められます。正社員への転換については、制度の内容や転換実績などをパート・有期雇用労働者へ明示するよう努め、ウェブサイトで定期的に公表することが望ましいとされています。

義務として書かれているものと、「望ましい」「努める」とされているものは同じ強さではありません。会社の対応を点検するときは、資料の表現を一括して「すべて義務」と読まないことも必要です。

契約更新の前に、通知書と就業規則を並べて見る

次の更新が10月1日以降なら、更新面談や書類受取の前に、自分が確認したい待遇を決めておきます。

  1. 現在の労働条件通知書と雇用契約書を用意する
  2. 就業規則や賃金規程で、賞与、手当、休暇、正社員転換の記載を探す
  3. 更新後の書面で、説明を求められる旨と相談窓口を確認する
  4. 待遇差が気になる項目を一つずつ質問する
  5. 会社から受け取った資料、回答日、説明した担当者を記録する

確認したいのは、賃金だけとは限りません。福利厚生施設の利用、教育訓練、正社員転換の機会なども雇用管理指針の対象です。自分の用事に関係する項目から見れば、規程全体を一度に読み切る必要はありません。

事業主側は、10月直前に書式だけ変えて終えると、説明を求められたときの資料が足りません。労働条件通知書、就業規則、賃金規程、説明用資料の内容がつながっているかを施行前に確かめます。厚生労働省のパートタイム・有期雇用労働法の資料ページ(2026年8月31日確認)には、法律、施行規則、指針、労働条件通知書の様式への導線があります。

久留米で相談するなら、内容に応じて窓口を選べる

パートタイム・有期雇用労働法そのものについて確認したい場合、福岡労働局は雇用環境・均等部指導課を案内しています。電話は092-411-4894です。

会社とのやり取りを含む労働問題を幅広く相談したい場合は、総合労働相談コーナーがあります。相談は無料です。久留米総合労働相談コーナーは久留米労働基準監督署内にあり、所在地は久留米市諏訪野町2401、電話は0942-90-0231。福岡労働局の案内では、利用時間は平日9時30分から17時までです。

相談時には、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則の該当部分、会社から受けた説明の記録を手元に置きます。最初に見るのは、10月1日以降の雇入れ・更新書類です。新しい一文があるかを確かめ、気になる待遇を一つ選んで説明を求めるところから始められます。

アイキャッチ画像:公式ページ掲載画像(提供:厚生労働省)。