この記事の目次
  1. かゆみを一枚のメモにする
  2. 「かゆくて眠れない」は相談してよい困りごと
  3. 入浴では洗い過ぎとこすり過ぎを避ける
  4. 暖房・衣服・寝具も一緒に記録する
  5. 掻き壊しを責めず、手が届く工夫をする
  6. 受診時に持っていくもの
  7. 参考・確認先

親が夜中も皮膚をかいていると、家族は「冬の乾燥だから様子を見てよいのか」と迷います。乾燥は高齢者のかゆみでよく見られる要因ですが、見た目だけで原因を決めることはできません。まず、かゆい場所、始まった時期、皮膚の変化、睡眠への影響、使っている薬や保湿剤を記録し、掻き壊しや長引く症状があれば皮膚科やかかりつけ医へ相談しましょう。

日本皮膚科学会の「皮脂欠乏症診療の手引き2021」では、皮膚の乾燥が進むとかゆみを伴い、かくことで皮膚のバリア機能がさらに損なわれることが説明されています。一方、乾燥の背景には年齢や低湿度だけでなく、皮膚疾患、全身の病気、治療の影響などもあります。「乾燥肌」と決めつけて薬を変えるのではなく、診察で原因を見分けてもらうための材料をそろえることが大切です。

かゆみを一枚のメモにする

診察室で「いつもかゆがっています」と伝えるだけでは、家での様子が十分に伝わらないことがあります。次の項目を一枚にまとめておくと、変化を振り返りやすくなります。

  • いつから始まり、急に広がったか、毎年同じ季節に出るか
  • すね、腕、背中、頭など、かゆい部位と左右の違い
  • 赤み、細かな皮むけ、ひび割れ、湿り、出血などの見た目
  • 入浴後、就寝中、暖房をつけた後など、強くなる時間や場面
  • 眠れない、衣服を脱いでかくなど、生活への影響
  • 新しく始めた薬、塗り薬、市販の保湿剤、入浴剤、洗剤
  • 糖尿病や腎臓病などの持病、最近の体調変化

皮膚の写真を撮るなら、本人の同意を得て、同じ場所・明るさで日付を残します。出血や傷があるところを何度も触って確認する必要はありません。

「かゆくて眠れない」は相談してよい困りごと

かゆみは数値にしにくい症状ですが、睡眠や日中の生活を妨げていること自体が大切な情報です。かき続けて傷になる、赤みや湿疹が広がる、家庭で行っている保湿や洗い方の見直しでも改善しない、何度も繰り返す場合は、皮膚科やかかりつけ医へ相談してください。

川崎医科大学附属病院は、乾燥に伴う慢性的な「かゆみ―ひっかき」の状態では、皮膚科で皮膚炎の治療とスキンケアを併用する必要があると案内しています。薬を使い始めた後にかゆみや発疹が現れたら、使っている薬と症状を処方医・薬剤師へ早めに伝え、次に使うかどうかを含めて指示を受けます。

一方、薬の使用後に皮膚の症状が急に広がり、まぶたや唇の腫れ、ぜーぜーする呼吸、息苦しさ、繰り返す嘔吐、ふらつき、呼びかけへの反応がおかしいなどの全身症状が重なったときは、アナフィラキシーの可能性があります。すぐに119番へ連絡してください。皮膚のかゆみだけを一律に救急扱いするのではなく、呼吸や意識などの変化を伴っていないかを見ます。PMDAの患者向けマニュアルも、アナフィラキシーが疑われる場合は直ちに救急車で受診するよう案内しています。

入浴では洗い過ぎとこすり過ぎを避ける

皮脂欠乏症の手引きは、石けんや洗浄剤の過度な使用、すすぎ残し、ナイロンタオルやブラシによるこすり洗いが乾燥を悪化させる可能性を挙げています。入浴時は、洗浄剤をよく泡立て、手のひらでやさしく洗い、洗浄成分が残らないように流します。特に乾燥の強い部分は、毎回強くこすって落とそうとしないことが大切です。

入浴後は、タオルで押さえるように水分を取り、本人に処方されている保湿剤があれば医師・薬剤師の指示どおりに使います。市販品を使っていて、しみる、赤くなる、かゆみが増すなどの変化があれば、使用を続けるか薬剤師や医師に相談してください。家族の判断で処方薬を別の人と共用したり、塗る回数を変えたりしないようにします。

暖房・衣服・寝具も一緒に記録する

冬は外気だけでなく、暖房によって室内の湿度が下がることがあります。加湿器を使う場合は、室内が過度に湿らないよう湿度計を目安にし、機器を清潔に保ちます。特定の湿度にすれば治るという意味ではないため、数字だけを追わず、暖房をつけた時間とかゆみの変化を見ます。

羊毛やごわごわした素材、衣服の縫い目、髪の毛の先などの軽い刺激でもかゆみを感じることがあります。やわらかい肌着に替えた日、寝具を洗った日、洗剤を替えた日を記録すると、診察時の手掛かりになります。一度にすべてを替えると何が影響したか分からなくなるので、本人の負担が少ない範囲で一つずつ見直します。

掻き壊しを責めず、手が届く工夫をする

「かかないで」と繰り返しても、強いかゆみを我慢するのは難しいものです。本人を責めず、いつ強くなるか、どの程度眠れないかを聞き取ります。傷を覆う方法は皮膚の状態によって異なるため、粘着テープや市販薬を重ねる前に医療者へ相談しましょう。

家族が記録する目的は、原因を家庭で診断することではありません。「夜に2回起きた」「すねの赤い範囲が広がった」「この保湿剤を塗るとしみる」など、本人のつらさと変化を医療者へ具体的に渡すことです。睡眠への影響まで伝えると、皮膚の見た目だけでは分からない困りごとも共有できます。

受診時に持っていくもの

お薬手帳、使用中の塗り薬・保湿剤の商品名が分かる写真、症状のメモを持参します。塗り薬については、どの部位に、いつ、どのくらい使ったかを書いておくと説明しやすくなります。

診察では、「乾燥だけと考えてよいか」「今の洗い方と保湿方法で直す点はあるか」「処方薬と市販品をどう使い分けるか」を確認しましょう。かゆみを年齢のせいで済ませず、本人が眠れるか、傷が増えていないかを一緒に見ることが、相談の第一歩です。

参考・確認先

以下は2026年9月5日に本文を確認しました。

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