この記事の目次
  1. 医療費控除の一般要件を先に確認する
  2. 医療費控除はサービス区分と利用の組み合わせで変わる
  3. 医療費控除の対象となる主な医療系サービス
  4. デイサービス等は医療系サービスとの併用を確認
    1. 家族が確認する順序
  5. 原則対象外となるサービスもある
  6. 領収書で見る場所
  7. 施設サービスは別表で確認する
  8. 確認チェックリスト
  9. 相談前に準備する情報
  10. よくある質問
    1. Q1. デイサービスの自己負担は医療費控除の対象ですか?
    2. Q2. 訪問介護はすべて対象ですか?
    3. Q3. 領収書の合計額をそのまま申告できますか?
    4. Q4. 高額介護サービス費の払い戻しを受けたらどうしますか?
    5. Q5. ケアマネジャーに聞けば控除対象か決めてもらえますか?
  11. まとめ

介護保険サービスの自己負担は、すべてが医療費控除の対象になるわけではありません。訪問看護や通所リハビリテーションなど対象になるサービス、医療系サービスと同じ月のケアプランで併用した時だけ対象になるデイサービス等、原則対象外のサービスがあります。

最初に確認するのは、請求書の総額ではなく、事業者が発行した領収書の「医療費控除対象額」などの欄です。サービス名だけで判断できない時は事業者へ内訳を確認し、最終的な申告可否は税務署へ相談してください。

医療費控除の一般要件を先に確認する

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、本人または本人と生計を一にする配偶者その他の親族のために実際に支払った医療費が対象です。未払い分は、実際に支払った年の対象になります。

控除額は原則として「実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円」で計算します。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円に代えて総所得金額等の5%を差し引き、控除額の上限は200万円です。

確定申告書には医療費控除の明細書を添付します。医療費通知を添付した分などを除き、領収書は申告時に提出するのではなく、確定申告期限等から5年間保管します。介護保険サービス分も、この一般要件を確認したうえで対象額を集計してください。

医療費控除はサービス区分と利用の組み合わせで変わる

国税庁は、介護保険の居宅サービス等を、医療費控除との関係で大きく3つに分けています。

  1. 医療費控除の対象となる医療系サービス
  2. 医療系サービスと併せて利用する場合だけ対象となる福祉系サービス
  3. 原則として対象外となるサービス

同じ「介護保険の1割負担」でも、税務上の扱いは同じではありません。また、対象になるサービスでも、食費、日常生活費、保険給付外の費用を含む請求総額がそのまま控除対象額になるとは限りません。

区分主な例判断のポイント
医療費控除の対象訪問看護、訪問リハビリ、居宅療養管理指導、通所リハビリ、短期入所療養介護ケアプランに基づく対象サービスの自己負担額を領収書で確認
医療系サービスとの併用時に対象生活援助中心型を除く訪問介護、訪問入浴、通所介護、地域密着型通所介護、短期入所生活介護など同じ月のサービス利用票に医療系サービスが位置づけられているか確認
原則対象外生活援助中心型の訪問介護、グループホーム、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与など介護保険適用でも自動的に医療費控除の対象にはならない

表は国税庁No.1127の区分を、家族が領収書を確認するために簡略化したものです。看護小規模多機能型居宅介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護などは、組み合わせた内容によって扱いが分かれます。個別の利用票と領収書を税務署へ示して確認してください。

医療費控除の対象となる主な医療系サービス

国税庁が医療費控除の対象として挙げる居宅サービス等には、次のものがあります。

  • 訪問看護、介護予防訪問看護
  • 訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導、介護予防居宅療養管理指導
  • 通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション
  • 短期入所療養介護、介護予防短期入所療養介護

これらは、看護、医学的管理の下での療養上の世話、診療の補助などに当たることから、対象となる自己負担額が医療費控除に含まれます。利用日数や請求総額を自分で掛け合わせず、領収書に記載された対象額を使います。

介護保険の支給限度額を超えた部分や、サービスに付随する実費の扱いは、費目によって異なる可能性があります。「医療系サービスだから請求の全額が対象」とは考えず、事業者と税務署へ確認しましょう。

デイサービス等は医療系サービスとの併用を確認

通所介護(デイサービス)、地域密着型通所介護、訪問入浴、一定の訪問介護、短期入所生活介護などは、単独で利用しただけでは医療費控除の対象になるとは限りません。

国税庁は、これらの福祉系サービスについて、同じ月のケアプランに訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリなどの医療系サービスが位置づけられ、併せて利用した場合に対象としています。

ここでいう「併せて利用」は、同じ年に一度でも訪問看護を使ったという意味ではありません。1か月単位のサービス利用票に医療系サービスが記載されているかで判断します。

家族が確認する順序

  1. 対象月のサービス利用票を用意する
  2. 医療系サービスが同じ月に位置づけられているか確認する
  3. デイサービス等の領収書で医療費控除対象額を確認する
  4. 表示がない、または金額が分からない時は事業者へ尋ねる

ケアマネジャーはサービス利用票の内容を説明できますが、税の適用を決定する窓口ではありません。申告上の最終判断は税務署へ確認してください。

原則対象外となるサービスもある

生活援助中心型の訪問介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与などは、国税庁No.1127で医療費控除の対象外となる居宅サービス等に分類されています。

ただし、一部のサービスで介護福祉士等による一定の喀痰吸引等が行われた場合は、その対価の一部が対象になる特則があります。領収書に対象額が示されている場合は、サービス全体を対象外として捨てず、記載内容を確認します。

介護保険施設の費用は、居宅サービスとは別に国税庁No.1125で整理されています。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などで対象範囲が異なるため、施設の種類と領収書の対象額欄を確認してください。

領収書で見る場所

介護サービス事業者が発行する領収書には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されます。様式は事業者によって異なりますが、次の項目を探します。

確認欄見る内容
サービス提供月どの月のケアプランと照合するか
介護保険自己負担1割から3割負担等の金額
医療費控除対象額申告明細へ転記する基礎となる金額
対象外の実費食費、日用品等が分けて記載されているか
払戻し高額介護サービス費等で補てんされた金額があるか

国税庁は、高額介護サービス費として払い戻しを受けた場合、原則としてその払戻額を医療費から差し引いて医療費控除を計算すると案内しています。ただし、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)または指定地域密着型介護老人福祉施設の施設サービス費に係る自己負担額だけを対象とする払戻しは、払戻額の2分の1に相当する金額を差し引きます。領収書だけでなく、後から届いた支給通知も保管しましょう。

領収書に対象額が見当たらない時は、総額を推測で記入せず、発行した事業者へ再確認します。領収書の再発行可否や証明方法も事業者ごとに確認が必要です。

施設サービスは別表で確認する

施設の月額請求には、介護サービス費の自己負担、食費、居住費、日常生活費などが含まれます。医療費控除の対象範囲は施設種別で異なり、請求総額の全額が対象になるわけではありません。

施設名の呼び方ではなく、介護保険上の正式な施設区分を確認します。領収書に医療費控除対象額の記載があるかを見て、判断が難しい場合は施設の請求担当者と税務署へ相談してください。

確認チェックリスト

  • 申告する年に支払った領収書を集めた
  • 居宅サービスか施設サービスかを分けた
  • 介護保険上の正式なサービス名を確認した
  • 対象月のサービス利用票を用意した
  • 医療系サービスが同じ月に位置づけられているか確認した
  • 領収書の医療費控除対象額欄を確認した
  • 食費や日常生活費等を総額から区別した
  • 高額介護サービス費の支給通知を確認した
  • 払戻額の原則と特養等の2分の1の例外を確認した
  • 施設利用分は国税庁No.1125の区分を確認した
  • 不明な領収書は発行事業者へ照会した
  • 最終的な申告可否を税務署へ確認した

相談前に準備する情報

  • 申告対象年と、実際に支払った人
  • 本人との続柄と生計を一にしているか
  • サービス利用票、サービス提供票
  • 介護保険上のサービス名と利用月
  • 事業者ごとの領収書、請求明細
  • 医療費控除対象額の記載がない領収書
  • 高額介護サービス費などの支給通知
  • 施設の場合は正式な施設種別
  • 医療費控除の明細書へ記入済みの内容

税務署へ相談する時は、「デイサービス代は対象ですか」と総額だけを尋ねるより、利用月、併用した医療系サービス、領収書の対象額欄を示すと確認しやすくなります。

よくある質問

Q1. デイサービスの自己負担は医療費控除の対象ですか?

同じ月のケアプランで訪問看護や通所リハビリ等の医療系サービスと併せて利用した場合は対象になり得ます。サービス利用票と領収書の対象額欄を確認してください。

Q2. 訪問介護はすべて対象ですか?

すべてではありません。生活援助中心型は原則対象外です。それ以外の訪問介護も、医療系サービスとの併用条件があります。正式なサービス内容を確認しましょう。

Q3. 領収書の合計額をそのまま申告できますか?

できるとは限りません。食費や日常生活費等が含まれる場合があります。領収書に記載された医療費控除対象額を確認してください。

Q4. 高額介護サービス費の払い戻しを受けたらどうしますか?

原則として、払い戻された高額介護サービス費を医療費から差し引きます。ただし、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)または指定地域密着型介護老人福祉施設の施設サービス費に係る自己負担額だけを対象とする払戻しは、払戻額の2分の1に相当する金額を差し引きます。領収書と支給通知をそろえて税務署へ確認してください。

Q5. ケアマネジャーに聞けば控除対象か決めてもらえますか?

ケアマネジャーはサービス利用票と併用状況を説明できますが、税務上の最終判断を行う窓口ではありません。領収書を発行した事業者と税務署へ確認します。

まとめ

介護保険サービスの医療費控除は、サービス名と利用の組み合わせで変わります。訪問看護や通所リハビリ等は対象となり、デイサービスや一定の訪問介護等は、同じ月に医療系サービスと併用した場合に対象になり得ます。原則対象外のサービスもあります。

申告額は請求総額から推測せず、領収書の医療費控除対象額を確認してください。高額介護サービス費等の払戻しは原則として差し引き、特養等の施設サービス費だけに対する払戻しでは2分の1を差し引く例外も確認します。個別の申告判断は税務署へ相談しましょう。

ご相談ください

領収書の内訳と対象額はサービス事業者へ、ケアプラン上の併用状況はケアマネジャーへ確認できます。医療費控除の対象、申告する人、明細書の記入は税務署へお問い合わせください。

介護費用全体を整理し、在宅介護と施設利用の負担を比較したい方は、アースサポートへのお問い合わせをご利用ください。税務判断や確定申告の代行を行う窓口ではありません。

確認日と次回更新期限

本記事は2026年8月3日に、国税庁No.1120の医療費控除の一般要件、No.1127の居宅サービス等、No.1125の施設サービスの医療費控除案内を確認して作成しました。

次回更新期限は2026年12月15日です。期限前でも、対象サービス、併用条件、領収書、払戻しの扱いが変更された場合は見直します。申告する年分の国税庁情報を必ず確認してください。

関連ページ

参考情報

アースサポート株式会社の相談窓口

介護施設・老人ホームについてご相談ください

親御さんの暮らしや施設選びについて、現在の状況とご希望を伺いながら選択肢を整理します。