この記事の目次
  1. LIFEから返ってくるのは、ケアを振り返る材料
  2. 夏の食欲低下と歯の汚れから、支援を変えた実例
    1. 通所リハビリでは、家でも続けられる説明へ
    2. 特別養護老人ホームでは、研修と本人ごとのケアを見直した
  3. 本人の計画に戻すには、家の様子も一緒に話す
  4. 加算の費用を聞くときも、支援の内容まで

施設やデイサービスで「LIFEを使っています」と聞いたら、本人の食事や身の回りの支援がどう変わったかまで説明を受けたいところです。記録した状態を振り返り、支援を見直すための仕組みですが、名前だけでは暮らしへの役立ち方が見えてきません。

厚生労働省の事例集には、夏に食欲が落ちる傾向を捉えて栄養の講習を行った通所リハビリや、歯の汚れの増加をきっかけに職員研修と個別の口腔ケアを変えた施設が載っています。数字を見て、何に気づき、何を変えたのか。そこまでたどると、家族も利用先の説明を聞きやすくなります。

LIFEから返ってくるのは、ケアを振り返る材料

LIFEの正式名称は「科学的介護情報システム」です。施設・事業所が利用者の状態やケアの計画・内容を決められた様式で提出すると、情報が集計・分析され、結果が返ってきます。この結果が「フィードバック」です。

扱う情報には、日常生活の動作、栄養状態、口腔の状態などがあります。提出する項目はサービスや算定する加算によって異なります。厚生労働省の「科学的介護情報システムの概要」(資料内88ページ)は、この仕組みと関連する情報を示しています。

事例集では、事業所全体の傾向を見る「事業所フィードバック」と、本人の変化を見る「利用者フィードバック」を使っています。全体で歯の汚れがある人の割合が増えているのか、本人の食事や移動の状態が以前と変わったのかでは、検討する内容も違います。

返ってきた数字は判断材料の一つです。職員が普段見ている様子や自宅での生活、本人の希望と合わせて考え、支援を実施し、その後を確かめます。LIFEの数字からケアが自動で決まるわけではありません。

夏の食欲低下と歯の汚れから、支援を変えた実例

ここで紹介するのは、厚生労働省「LIFE利活用の手引き 令和7年度事例集」に掲載された他施設・事業所の取組です。

通所リハビリでは、家でも続けられる説明へ

事例5の通所リハビリテーションでは、事業所フィードバックを見て、毎年夏頃に食欲が落ち、低栄養リスクが高まる傾向を把握しました。半数以上の利用者に歯の汚れがあることも分かりました。

そこで、管理栄養士が中心となって夏バテ予防や水分補給のタイミングを伝える講習を実施。自宅でも実践できるよう、資料を簡潔にしました。義歯を使う人が多かったため、歯科衛生士は義歯の手入れを重点的に説明しています。

実施後は、歯や義歯の汚れがある人の割合の減少を確認しました。ただ、一度で終わる取組にはなりませんでした。講習から期間が空くと数値が再び悪化し、利用者によって説明の理解度にも違いがあったと報告されています。

次の支援として、定期的に学び、実践する機会を設けることを検討し、歯科衛生士による個別指導も計画しました。連絡帳には口腔ケアで気をつけてほしいことを書き、自宅の本人・家族へ伝える工夫もしています。(事例5、資料内20〜21ページ)

この流れから、家族が聞けることも具体的になります。本人への助言が連絡帳にあれば、どの状態を受けた内容なのか、家で続けにくいときはどう相談できるか。説明を受けた後の困りごとまで共有する余地があります。

特別養護老人ホームでは、研修と本人ごとのケアを見直した

事例7の介護老人福祉施設では、歯の汚れがある人の割合が、2024年3月の5.6%から10月の17.7%に増えていました。利用者の年齢や要介護度などの基本的な傾向には大きな変化がなかったため、口腔ケアに改めて取り組むよう各ユニットの責任者へ伝えています。

歯科衛生士による口腔状態の評価にはケアマネジャーが同席し、利用者ごとにケアを見直しました。職員研修も、同じ内容を繰り返す形式から、実際に入所している人のケースを中心に考える形式へ変更しています。

その後もデータを確認し、歯の汚れがある人の割合は2025年1月の16.9%から10月の15.6%へ下がったと報告されています。(事例7、資料内26〜27ページ)

変化は1.3ポイントです。施設全体の数値なので、本人の状態は個別に確かめる必要があります。研修だけの効果とも断定できませんが、増加に気づいて現場へ知らせ、個別評価と研修を変え、経過を見るという使い方は分かります。

「口腔ケアをしています」という説明を受けたときも、本人に合う方法を誰が評価し、日々の介助へどう伝えているかを聞けば、支援の内容を確かめられます。

本人の計画に戻すには、家の様子も一緒に話す

施設全体の数字が改善していても、本人にどんな支援が必要かは個別に考えます。

事例11の通所介護では、個別ケア会議の前に本人のフィードバックを配り、日常生活の動作や認知機能の変化に目を通しています。

会議では自宅の環境、訓練中や送迎時の様子、家族・ケアマネジャーからの情報も共有し、支援方針を検討。サービス担当者会議での合意を踏まえてケアを提供する流れです。(資料内35〜36ページ)

同じ事例には、以前は短い声かけで始められた運動が、動作の説明を受けないと始めにくくなった人についての会議も載っています。自宅で新しい調理器具の操作を覚えにくくなったという情報と合わせ、事業所でも説明を分かりやすくする必要が話し合われました。(資料内37ページ)

LIFEの評価だけでは見えにくい、実際の困りごとを共有した会議です。家で使う物が変わったという情報も、本人への説明を考える材料になっています。

家族から伝えるときも、「最近できなくなった」だけで終えず、どんな動作で、いつから、どの程度の手助けが必要になったかまで添えると、職員が利用先の様子と比べられます。本人が続けたいことも一緒に伝えておきたい情報です。

説明を受ける場では、次の質問を手元に置けます。家族の話し合いを助けるために、掲載事例の流れから組み立てたものです。

確かめたい内容利用先への質問
本人の変化前回と比べて、食事や移動などのどこが変わりましたか。いつの評価ですか
評価と普段の様子その結果は、日々の様子や家での生活とどう重なっていますか
今の支援本人の希望を踏まえて、続ける支援と変える支援は何ですか
計画と経過その支援は計画のどこに書かれ、次はいつ、何を見て振り返りますか

家と利用先でできることが違う場合も、その違いを話し合えます。どちらかの評価に合わせる前に、時間帯や周囲の環境、声かけの違いを共有するためです。

計画の説明を読む際は、ケアプランの役割と確認ポイントも参考になります。本人が目指す暮らしと、実際に受けている支援を結びつけて確認できます。

加算の費用を聞くときも、支援の内容まで

LIFEへの情報提出を要件に含む加算には、科学的介護推進体制加算や個別機能訓練加算などがあります。請求書に該当する名前があれば、どの評価・支援を行い、自己負担はいくらになるのかを利用先に説明してもらえます。提出する情報の内容や利用目的も、利用先の説明書と照らして確認する事項です。

運営主体は2026年5月11日に国民健康保険中央会へ移りました。厚生労働省の2026年4月21日付事務連絡では、移管に伴う提出様式情報の変更はないとされています。本人のケアについての説明を受ける相手は、利用している施設・事業所です。

次の面談では、本人について見直した支援を一つ、計画と実際の様子を並べて説明してもらってください。そこからなら、家族の気づきも話し合いに持ち込めます。

本文中の厚生労働省資料は2026年10月10日に確認しました。事例のページ数は、資料に印刷された番号です。

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