親が目薬をうまく差せなくなったとき、家族が先に確かめたいのは「どの薬を、いつ、どちらの目に使うか」と「本人が手伝ってほしいと思っているか」です。点眼は毎日のことになりやすいからこそ、慣れで進めず、処方した医師や薬剤師、看護職から本人に合う方法を教わったうえで手伝いましょう。
厚生労働省のガイドラインは、介護職員が医療職と連携して点眼を支援する場面を対象にしています。家族向けの一律の手順ではないため、ここでは取り違えや容器の接触を防ぐ確認事項として参照し、実際の方法は本人を診る医療職の説明に従います。
最初に本人と薬を確かめる
目薬を手に取る前に、本人へ声をかけ、今から点眼してよいか確認します。急に顔へ手を近づけると驚き、顔を動かした拍子に容器が目へ当たることがあります。聞こえにくい人には正面から話し、目薬の容器や薬袋を一緒に見せると意図を伝えやすくなります。
次の項目は、点眼のたびに確認できるよう一枚にまとめておくと便利です。
- 本人の氏名と薬の名前
- 右目、左目、両目のどれか
- 使う時刻・回数と一回の量
- 複数の目薬がある場合の順番と間隔
- 開封日、保管方法、使用期限
- 点眼前からある赤み、目やに、痛み、見え方の変化
回数や間隔、保管方法は薬によって異なります。家族の経験や別の人の目薬を基準にせず、薬袋と個別の説明を優先してください。容器の見た目が似ている場合は、薬剤師へ区別しやすい保管方法を相談します。
手を洗い、容器の先端を触れさせない
厚生労働省の手順資料では、点眼前の手洗いと、容器の先端を眼、まぶた、まつげに触れさせないことが示されています。先端が触れそうな姿勢なら無理に続けず、いったん離して体勢を整えます。本人が強く嫌がる、顔を支えないとできない、まぶたを開けにくい場合は、力で押さえず医療職へ相談しましょう。
家族が確認するのは、教わった方法を落ち着いて再現できるかどうかです。何滴も入った、床へ落ちた、入ったか分からないときに自己判断で追加すると、処方どおりの量から外れることがあります。その場で追加するかは、あらかじめ薬剤師へ「失敗したときはどうするか」まで聞いておくと迷いにくくなります。
点眼後は様子と実施時刻を残す
点眼後の目の閉じ方や目頭の押さえ方も、本人の状態や薬に応じて医療職の説明に従います。あふれた液を拭くときは、清潔なものを使い、目を強くこすらないようにします。終わったら容器を決めた場所へ戻し、実施した時刻を記録します。家族が交代で手伝う家庭では、この記録が重複や抜けの防止につながります。
しみる感じが一時的に出る薬もありますが、「目薬だから大丈夫」と決めつけないことが大切です。強い痛み、急な見えにくさ、腫れ、息苦しさなど、普段にない変化があれば使用を続けるか自己判断せず、処方元や医療機関へ相談してください。緊急性があると感じるときは119番へ連絡します。
医療職へ渡すメモを作る
相談時は、薬の名前、どちらの目か、最後に使った時刻、困った場面、点眼前後の変化を伝えます。「本人がまぶたを閉じてしまう」「手が震えて先端が触れそう」「一人のときは忘れる」など、実際の困り方まで伝えると方法を調整しやすくなります。
点眼を手伝う目的は、家族のやり方へ合わせることではありません。本人の意思を確かめ、処方と個別指導を守りながら、取り違えや接触を減らすことです。できない日があるときも責めず、本人だけで続けられる補助具や訪問時の支援を含め、眼科、薬剤師、看護職へ相談しましょう。
参考・確認先
以下は2026年9月7日に本文を確認しました。
- 厚生労働省「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン」(介護職員と医療職の連携を前提とする資料)
- 厚生労働省「介護職員が行うケアの手順」(点眼時の確認・手洗い・容器先端の非接触を参照)
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