この記事の目次
  1. 先に確認したい「急な聞こえの変化」
  2. 「聞こえない」ではなく、困る場面を記録する
  3. 補聴器を買う前に耳鼻咽喉科へ相談する理由
  4. 家庭では「大声」より伝わり方を変える
  5. 光や振動で知らせる用具は補聴器と分けて確認する
  6. 家族が受診前にそろえるもの
  7. 参考・確認先

親の聞き返しが増えたときは、すぐに補聴器の機種を選ぶより、まず「いつ、どんな音や会話が聞き取りにくいのか」を本人と確かめ、耳鼻咽喉科で耳の状態と聴力を調べてもらうのが出発点です。聞こえにくさにはさまざまな原因があり、治療できるものか、補聴器が合う状態かは販売店だけでは判断できません。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、補聴器を考える人に、先に補聴器相談医へ相談して診察を受けるよう案内しています。

家族が大きな声で繰り返すだけでは、本人も責められているように感じることがあります。買い物を急がず、困っている場面を一緒に整理すると、診察でも補聴器の調整でも話が具体的になります。

先に確認したい「急な聞こえの変化」

何年もかけて少しずつ聞き返しが増えた場合と、朝起きたら片耳が聞こえにくいなど、急に変わった場合では対応が異なります。

片耳の聞こえが突然落ちた、耳鳴りや耳がふさがった感じ、めまいを伴うといった変化があれば、予約日を先に延ばさず、できるだけ早く耳鼻咽喉科へ相談してください。学会は、突発性難聴では早期に受診し、検査と治療につなげることが大切だとしています。

さらに、聞こえにくさやめまいに加えて、ろれつが回らない、顔の片側が動きにくい・しびれる、飲み込みにくい、片方の手足に力が入らないなどの突然の症状がある場合は、補聴器の相談ではなく救急の判断が必要です。厚生労働省の案内でも、こうした突然の顔・言葉・手足の異変は119番をためらわない症状に挙げられています。

「聞こえない」ではなく、困る場面を記録する

聞こえ方は、音の大きさだけで決まりません。静かな部屋では話せても、食卓で複数人が話すと分かりにくいことがあります。音は聞こえているのに言葉として聞き分けにくい場合もあります。

受診前に、次のような場面を短くメモしておくと役立ちます。急に聞こえが変わった場合は、記録のために受診を遅らせないでください。

  • 右耳・左耳・両耳のどこが気になるか
  • 急に始まったか、少しずつ変わったか
  • 一対一の会話、テレビ、電話、玄関の呼び鈴など、困った場面
  • 静かな所と人の多い所で違いがあるか
  • 耳鳴り、耳の詰まり、痛み、めまいなどがあるか
  • 本人が一番困っていることと、家族が気づいた変化

「テレビがうるさい」だけで終わらせず、「夕食時、右側から話すと聞き返す」「電話の相手の名前を取り違えた」のように記録します。本人が困っていないと言うときも、まず否定せず、生活上の支障がある場面を一つずつ確認しましょう。

補聴器を買う前に耳鼻咽喉科へ相談する理由

診察では、耳あかや中耳の病気などがないかを確認し、聴力検査で聞こえ方を調べます。そのうえで、治療の対象になるか、補聴器で補うことが適切かを検討します。

補聴器は、単に音を一律に大きくする道具ではありません。本人の聴力と、会話・テレビ・外出先など使いたい場面に合わせて選び、調整しながら使います。値段の高さだけで本人に合うとは限りません。診察時には、次の点を尋ねてみてください。

  • 今の聞こえに治療できる原因はないか
  • 補聴器を使うなら、どの場面を優先するか
  • 試している間に何を記録すると調整に役立つか
  • 購入後の調整や点検をどこで受けるか

通販や家族だけの判断で先に購入すると、本人の聴力や目的に合わず、使わなくなることがあります。本人を置き去りにせず、困る場面と優先順位を共有することが大切です。

家庭では「大声」より伝わり方を変える

受診や機器の検討と並行して、家族の話し方も少し変えられます。

まず本人の正面に回り、名前を呼ぶなどして注意がこちらに向いてから話します。テレビや換気扇の音を小さくし、一文を短くして、口元が見える明るさを確保します。聞き返されたら同じ言葉をさらに大声で繰り返すより、「薬は飲んだ?」を「朝の薬、もう終わった?」のように言い換えると伝わることがあります。

玄関の呼び鈴や電話が分かりにくい場合は、光や振動で知らせる機器もあります。ただし、必要な機器は生活環境によって違います。補聴器と、それ以外の知らせ方を分けて相談しましょう。

光や振動で知らせる用具は補聴器と分けて確認する

久留米市の日常生活用具給付には、聴覚障害者向けの用具として、呼び鈴などの音を光や振動で知らせる屋内信号装置などが掲載されています。これは補聴器の購入費を案内する項目ではありません。補聴器の相談と、生活音を別の方法で知らせる用具の相談は分けて考えます。

この制度は在宅の障害者・障害児が対象で、障害者手帳などの要件と、用具ごとの障害内容の要件があります。屋内信号装置は、18歳以上の聴覚障害2級以上で、聴覚障害者のみの世帯やそれに準ずる世帯など、個別の条件が示されています。市は購入前の事前申請が必要と明記しているため、対象になる用具か、本人が要件を満たすかを購入前に窓口へ確認してください。一般高齢者の補聴器に関する助成の有無は、この日常生活用具一覧だけで判断せず、別に市へ確認します。

家族が受診前にそろえるもの

お薬手帳、これまでの耳の病気や手術歴、困る場面のメモを持参すると説明しやすくなります。本人が使っている集音器や補聴器があれば、それも持っていきましょう。

家族の目的は、「聞こえていない」と本人を説得することではありません。本人がもう一度聞き取りたい相手や音、避けたい不便を一緒に見つけ、医師や補聴器の担当者へ伝えることです。急な変化を見逃さず、普段の困りごとは焦らず記録する。この二つを分けると、次の行動を決めやすくなります。

参考・確認先

以下は2026年9月5日に本文を確認しました。

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