この記事の目次
  1. 入浴を支える人件費と水道光熱費を、単価へ
  2. 加算Ⅱで、自宅の浴室を通所の支援につなぐ
  3. ICTを使える条件を広げ、評価の時間を確保する
  4. 単価と要件を一緒に見直してほしい
    1. 参照資料

入浴介助加算について、私は単価の引上げと、算定要件の見直しの両方が必要だと考えています。水道光熱費や人件費を報酬で支えることと、職員が評価や支援に使う時間を確保することを、一緒に進めてほしいと思います。

厚生労働省は2026年10月14日の介護給付費分科会で、物価高騰と人材確保を踏まえた単価設定の見直しを提案しました。写真や動画を評価に使うICT(情報通信技術)の活用条件を広げる案も示されています。2027年度改定に向けた検討で、新しい単位数や上げ幅はまだ決まっていません。分科会の資料

入浴を支える人件費と水道光熱費を、単価へ

お湯と浴室があっても、介助する人がいなければ支援は続きません。本人の状態確認、浴室での介助、準備や片付け、職員間の情報共有。その仕事を担う人と、設備を使える環境を継続して確保する必要があります。

厚労省の資料は、水道光熱費等の高騰によって報酬単価が実態に見合わず、事業所運営に影響しているという課題を挙げています。対応案では、人材確保の観点も踏まえて単価を見直す方向が示されました。

通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護の現行単位数は、次のとおりです。

現行の加算1日あたりの単位数
入浴介助加算Ⅰ40単位
入浴介助加算Ⅱ55単位

いずれも基本報酬への上乗せです。表は現行の単位数で、2027年度の新単位数は未定。入浴を含むサービス全体の費用は、基本報酬と合わせて考える必要があります。

私は、職員が担う安全への配慮と、入浴の前後にかかる人件費まで、単価の議論で評価してほしいと思います。

利用者の負担は極力抑えたい。そのうえで、必要な職員を確保し、サービスの質を維持できる報酬を求めます。事業所がどこまで支出の増加を抱えられるかという問題は、支援を続ける条件として考えていく必要があります。

加算Ⅱで、自宅の浴室を通所の支援につなぐ

加算Ⅱが目指すのは、自宅での入浴です。本人が自ら、または家族や訪問介護員等の介助によって入浴できるようになることを目的としています。

加算Ⅰにも、適切な人員・設備や職員への研修等の要件があります。Ⅱでは、それに加えて、居宅の浴室環境等を把握し、本人の状態と併せて個別の入浴計画へ反映し、計画に沿って支援します。通常の居宅評価では、自宅の浴室で本人がどう動けるかを把握することが、通所での介助につながります。

自宅での動作と浴室環境の把握を個別入浴計画と通所の支援につなぐ流れ

浴槽の高さや手すりの位置が違えば、支援を考える条件も変わります。自宅の様子を通所の支援につなぐという加算Ⅱの目的を、私は大切にしたいと思います。要件の見直しでも、本人の生活に必要な情報が計画に生きる形を求めます。

ICTを使える条件を広げ、評価の時間を確保する

ICTは、現行でも使えます。今回の案は、その方法を選べる条件を広げるものです。

現行でも、評価を担う医師等の訪問が困難な場合には、その指示を受けた介護職員が居宅を訪問し、動作や浴室環境等を把握する方法が認められています。医師等は、職員が把握した情報を踏まえて評価・助言します。ここでいう「医師等」には、理学療法士や作業療法士、介護福祉士、介護支援専門員なども含まれます。

2024年度のQ&Aでは、本人の動作を動画で、浴室環境を写真等で把握する方法も示されています。評価者とその場で同時につなぐ方法に限らず、こうした情報を使った評価も認められています。2024年度改定Q&A・問61、63

区分医師等の指示を受けた介護職員の訪問とICT活用
現行医師等が訪問困難な場合に認める
厚労省の検討案(2026年10月14日)「医師等が訪問困難な場合」という限定を外す

指示を受けた介護職員が居宅を訪問して情報を集め、医師等が評価・助言する流れは、案にも含まれています。変更を提案しているのは、この方法を選べる条件です。

医師等の移動や日程調整の負担を減らせるなら、選びやすくする意味はあると思います。減らした負担を、本人の動作や浴室環境を確かめ、支援を考える時間へつなげてほしいところです。

さらに、事務負担も減らしてほしい。これは私自身が求めることです。評価を計画や実施記録へつなぐ情報を保ちつつ、同じ内容の転記や重複する作業を減らせれば、その分を本人の状態確認や支援の検討に使えます。

単価と要件を一緒に見直してほしい

同じ分科会では、中山間地域等で、入浴介助を目的とした介護サービス事業者が存在しない地域であること等を条件に、入浴目的の短時間サービスを例外的に認める案も示されました。地域のサービス資源が不足する場合を想定した検討です。

入浴を支える事業所と職員が地域に残り、必要な人が利用できることを大切にしたいと思います。そのためにも、単価の引上げと、現場が運用しやすい要件の見直しを併せて進めてほしいと考えています。

必要な人員と費用を確保し、本人を評価して支援する時間も確保する。安全な入浴を続けられるかという点から、今回の改定を見ていきたいと思います。

参照資料

情報確認日:2026年10月17日。

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