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2026年1〜9月、デイサービスなどの事業者の倒産は47件に達しました。前年の同じ期間より12件多く、1〜9月としては調査開始以来、最多です。
背景には、利用による収入を十分に確保できない事業者に、人件費や物価の上昇が重なる厳しさがあります。最新の経営分析では、収入が増えていても、費用がそれ以上に増えて利益が減った状況が示されています。高齢者を支えるサービスへの需要があることと、個々のデイサービスの経営が成り立つことは、同じではありません。
倒産の約8割は売上不振。人手不足も重なっている
東京商工リサーチ TSRデータインサイトの10月10日公表資料によると、47件のうち、主な原因が売上不振だったものは37件、赤字の累積だったものは5件でした。
別の切り口で集計した人手不足関連の倒産は11件。前年同期の3件から増えており、そのうち7件は人件費の高騰に関連するものでした。売上不振と人手不足は、一つの事業者で重なることがあるため、これらの件数は足し合わせられません。
対象は、負債1,000万円以上の「通所・短期入所介護事業」の倒産です。短期入所も含む事業者単位の集計であり、閉鎖したデイサービスの施設数とは異なります。また、今回の最多は1〜9月の比較で、年間最多の2022年・69件を超えたわけではありません。
件数の増加を受けて考えたいのは、売上が足りなくなる理由と、収入が増えても経営が苦しくなる理由です。福祉医療機構が10月9日に公表した決算分析には、その両方を考える材料があります。
収入は増えたのに、利益は減った
福祉医療機構の「2024年度 通所介護の経営状況について」は、融資先の通所介護事業所の決算を分析しています。2023・2024年度の両方のデータがある4,855事業所を比べると、1事業所当たりの収入は約104万円増えた一方、費用は約142万円増えました。
| 1事業所当たりの平均 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|
| サービス活動収益 | 約6,081万円 | 約6,184万円 |
| サービス活動費用 | 約5,925万円 | 約6,067万円 |
| サービス活動増減差額 | 約156万円 | 約118万円 |
出典:同資料2ページ・図表1。金額は万円単位に丸めています。サービス活動増減差額は、サービスの提供で得た収益から、その活動にかかった費用を引いた額です。
利用率が上がり、利用者1人1日当たりの収益も増えていました。それでも人件費や経費の増加が上回り、サービス活動増減差額は前年度から24.6%減少しました。利用が増えた実感があっても、本業で得られる利益が増えるとは限らないのです。
この決算分析は2024年度のもので、2026年に倒産した47事業者を調べた資料ではありません。ただ、収入と費用の伸びの違いが、もともと薄い利益を削る仕組みを示しています。
利用登録があっても、毎日の席が埋まるとは限らない
同じ福祉医療機構の分析で、2024年度の黒字事業所の平均利用率は75.1%、赤字事業所は65.1%でした。利用者1人1日当たりの収益には大きな差がない一方、実際に利用された量に差がありました。黒字になるために必要な利用率は、職員配置や家賃、収益の単価などによって事業所ごとに異なります。
デイサービスには、利用者が来る前から準備しておかなければならないものがあります。職員の配置、建物、送迎車、入浴の設備などです。欠席が増えた日も、これらの費用を利用人数と同じ割合で減らせるとは限りません。
登録者数と、日々の利用人数は別です。週に何回利用しているか、どの曜日に空きが多いか、入院や体調不良で欠席が続いていないか。実際の利用日数を見て初めて、定員に対してどの程度の収入を得られているかが分かります。
人件費率も、読み方を誤りやすい数字です。収入に占める人件費の割合が高いとき、給与水準だけに原因を求めるのは早計です。利用が減って収入が落ちれば、人件費の金額が同じでも割合は上がります。
給与の抑制は、採用や定着を難しくするおそれがあります。職員を確保できなければ、受け入れられる人数にも影響します。職員を確保するための費用と、その職員が支えられる利用の量を、合わせて考える必要があります。
処遇改善の支援は、賃金と運営費を分けて考える
人材確保への支援も進められています。厚生労働省の処遇改善の案内では、2026年6月から介護職員等処遇改善加算を拡充しています。加算は、事業所が要件を満たして受け取る、職員の処遇改善のための報酬です。
ここで押さえたいのは、加算による収入の使い道です。2026年度の通知は、算定額に相当する賃金改善を実施するよう求めています。賃金改善に伴う法定福利費など、事業主負担の増加分も対象に含められますが、光熱費や送迎車の更新へ自由に回せる収入ではありません。
職員の待遇を改善する支援は、人材の確保・定着に必要です。そのうえで、物価高によって増える運営費をどこで賄うかという課題も残ります。「加算で売上が増えた」という確認と、「賃金改善を行った後も事業を続ける余力がある」という確認は、両方必要です。
経営を見直すなら、利用・人員・送迎をつないで見る
今回の資料から経営改善を考える際は、月の売上合計だけでなく、収入が伸びない場所を具体的に探す必要があります。
利用の面では、曜日別の利用人数と欠席の理由。 利用終了や入院による減少なのか、曜日の偏りなのか、必要な支援が合わずに受け入れられていないのかで、取り組む内容が変わります。体調に合わない利用を勧めるような埋め方は避け、本人に必要なサービスと事業所の受け入れ条件を確かめます。
人員の面では、人数と業務の重なり。 定員に空きがあっても、入浴介助や送迎が同じ時間帯に集中すれば、受け入れを増やせないことがあります。配置基準と安全を守ったうえで、どの時間帯の業務が負担になっているかを見ていきます。
送迎の面では、移動時間と利用を支えられる範囲。 利用者を増やすために送迎範囲を広げると、運転や乗降介助にかかる時間も増えます。新たな利用による収入と、追加で必要になる職員・車両・燃料の費用を合わせて検討します。
経営の数字と現場の動きをつなげると、受け入れを増やすために必要な条件や、無理のある運営を見直す場所が見えてきます。
サービスの休止は、家族の生活にも影響する
デイサービスが担っているのは、日中の居場所だけではありません。入浴、食事、身体を動かす機会、人との交流を支え、家族が仕事や休息に充てられる時間にも関わります。利用が急に途切れると、その支援をどこで補うかが課題になります。
全国の倒産件数だけでは、今利用している事業所の経営状態は分かりません。休止や利用日の変更の案内を受けた場合には、担当ケアマネジャーへ早めに伝えてください。利用できなくなる日と、毎日の暮らしで困ることを一緒に伝えると、代替サービスを具体的に検討できます。
候補を探す際は、空きのある曜日だけで決めず、入浴の介助、医療的な対応、食事、送迎範囲、家族が不在になる時間を照らし合わせます。本人が慣れた関わり方や、続けたい活動も引き継ぎたい情報です。
47件という数字は、地域の介護を継続する難しさを示しています。必要な支援を安定して届けるには、それを担う職員が働き続けられ、日々の費用を賄える経営が欠かせません。利用者の生活、職員の待遇、事業所の収支を、一緒に支える課題として考える必要があります。
資料確認日:2026年10月10日。きっかけとなった報道はJointの10月8日付記事。倒産件数・内訳は東京商工リサーチの10月10日公表資料、決算分析は福祉医療機構の10月9日公表資料に基づきます。
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