2023年に親の家を相続し、まだ売却していない。空き家の譲渡所得に使える特例を調べるなら、まず2026年12月31日を確認してください。国税庁の「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という条件から計算した、2023年相続の期限です。
制度そのものの終期は2027年12月31日。こちらだけを見て売却時期を決めると、相続年ごとの期限を過ぎるおそれがあります。期限に間に合っても、家屋や使い方などの条件を満たす必要があります。
相続年ごとに、二つの期限の早い方を見る
国税庁のNo.3306は、対象となる譲渡を2027年12月31日までと定め、さらに相続開始から3年を経過する日の属する年の年末までに売ることを求めています。次は相続年が分かっている場合の計算例です。
| 相続開始の年 | 「3年経過日の属する年」の年末 | 制度の終期を加えた確認期限 |
|---|---|---|
| 2023年 | 2026年12月31日 | 2026年12月31日 |
| 2024年 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 |
| 2025年 | 2028年12月31日 | 2027年12月31日 |
これは売却期限を見つけるための表で、個別の適用判定ではありません。売買契約を結ぶ日と、特例でいう譲渡の時期を同一と決めつけず、取引予定を税務署や税理士へ示して確認してください。
3,000万円は税金から引く金額ではない
条件を満たすと、譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除できます。売却代金から一律に3,000万円を受け取れる制度でも、税額が3,000万円戻る制度でもありません。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象家屋と敷地等を相続・遺贈により取得した相続人が3人以上の場合は、控除の上限が2,000万円です。法定相続人が何人いるかだけで決まるわけではありません。誰が家屋と敷地を取得したか、登記や遺産分割の資料で確認します。
売る前に、家屋と相続後の利用を照らし合わせる
国税庁が示す主な確認点を、手元の資料と組にすると整理しやすくなります。
| 確認すること | 国税庁の条件・注意点 | 手元で見る資料の例 |
|---|---|---|
| 家屋の建築時期と種類 | 1981年5月31日以前に建築され、区分所有建物登記がない | 登記事項証明書など |
| 相続直前の住まい方 | 原則、被相続人が住み、ほかに居住者がいない | 住民票、家の利用状況の記録 |
| 相続後の利用 | 売却方法に応じ、事業・貸付け・居住に使っていない | 賃貸借契約の有無、利用の記録 |
| 売却代金 | 1億円以下。分割売却やほかの相続人の売却代金も合算する場合がある | 売買契約書、ほかの相続人の売却状況 |
親が相続直前に老人ホーム等に入っていた場合も、直ちに対象外とは限りません。国税庁No.3307は、入所前の認定・入所先、家財の保管、その後に貸したり他人が住んだりしていないことなど、別の条件を示しています。入所日と家の使い方を時系列で整理してから確認します。
売り方にも条件があります。家屋を売る場合は一定の耐震基準を満たす方法、家屋を全部取り壊して敷地を売る方法などが示されています。2024年以後の譲渡では、譲渡後から翌年2月15日までに耐震基準を満たすか、家屋を全部取り壊す方法も所定の条件で対象になります。工事や取壊しの順序を売買前に税務署・税理士へ確認することが必要です。
確認書は自治体、特例の申告は税務署
この特例を使うには、所定の書類を添えた確定申告が必要です。売却方法に応じて譲渡所得の内訳書、登記事項証明書等、所在地の市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」、耐震関係書類、売却代金を示す契約書などを用意します。自治体の確認書を受け取っただけで、税務上の適用が決まるわけではありません。
取得費加算など他の特例との併用制限、親子・夫婦など特別な関係にある人への売却の制限もあります。分割売却では後から1億円を超え、修正申告が必要になる場合も国税庁は示しています。価格や工事を決める前に、相続開始日、取得した人、建築時期、入所・賃貸・居住の履歴、売却方法を一枚にまとめ、税務署または税理士へ持ち込むと相談点が明確になります。
相続後の管理や期限のある手続から整理したい場合は、相続した家で最初に確かめることも参照してください。
参照:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」「No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」(いずれも令和8年4月1日現在法令等、2026年10月24日確認)。
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